http://www.sankei.com/smp/premium/news/171219/prm1712190003-s1.html

 西武新宿線の本川越(ほんかわごえ)駅(埼玉県川越市)構内に侵入し、電車の表示板に細工したなどとして、器物損壊などの疑いで鉄道ファンの少年2人が埼玉県警に逮捕された。「存在しない行き先表示を撮りたい」という趣旨の供述をしていた2人は、実際に写真撮影に成功。だが、会員制交流サイト(SNS)に投稿された犯行写真を閲覧した善良な鉄道ファンが鉄道会社に通報し、御用となった。ファンならではの「珍しいものを他人に見せたい」という欲求が、あだになった。

 埼玉県警によると、逮捕されたのは、東京都中野区の無職少年(18)と西東京市の男子高校生(16)の2人。逮捕容疑は7月24日未明、川越市の本川越駅構内に侵入し、電車の行き先を表示する前面表示器の歯車部分に接着剤のようなものを付着させて使用できなくした疑い。さらに、電車内から合図灯(時価約1万円相当)を盗んだとしている。

 捜査関係者によると2人は、電車の写真を撮ることが趣味の「撮り鉄」といわれる鉄道ファン。共通の趣味を通じ、撮影ポイントで知り合ったという。「(取り調べのときも)うれしそうに電車の話をする。電車が好きなんだなと感じた」という。

 同署によると2人は、行き先表示を平成24年に廃止された「西武新宿(行き)」「快速急行」の組み合わせにし、写真を撮りたかったという趣旨の供述をしていた。犯行後、2人は実際にこの組み合わせの写真を撮影し、SNSに投稿した。

 2人は、電車の行き先を表示する前面表示器のうち、電車の種別を表示する箱を開け、表示を「快速急行」にしてから歯車部分に接着剤をつけて動かないように固定した。

 西武鉄道によると、西武新宿線では、「特急」「快速急行」「拝島(はいじま)快速」「急行」「準急」「各停」のうち、平成24年に快速急行と拝島快速が廃止となり、準急は一部時間帯のみの運行となった。快速急行や拝島快速を廃止したのは、各停の待ち合わせ時間の短縮などが目的だったという。

 一方、少年の自宅などの家宅捜索では、盗まれた合図灯などを押収。行き先が正面を向いた状態の前面表示器などが、棚に陳列してあったという。2人は取り調べに素直に応じ、「二度としません」などと反省していたという。

 2人は11月10日付で、さいたま地検川越支部が器物損壊、建造物侵入、窃盗の非行内容でさいたま家裁川越支部に家裁送致。2人の居住地が東京都内のため、11月14日付で18歳少年を東京家裁、16歳少年を東京家裁立川支部へそれぞれ移送した。

 捜査の端緒となったのは、7月にあった西武鉄道への情報提供。「犯行を自慢する画像をあげている人がいる」という趣旨で、画像には盗んだものなどが写っていた。

 情報提供をしたのは2人と同じく鉄道ファン。画像はSNSに投稿されたが限られた人のみが見られるもので、「コミュニティーを信用しきっていたのだろう」と捜査関係者は言う。

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続きます