伝説のスバル発炎筒積み忘れリコール
http://carinf.mlit.go.jp/jidosha/carinf/ris/detail/1105450.html

プロジェクトX〜挑戦者たち〜  スバルの挑戦。奇跡の利益率−発炎筒の無い車の誕生

工場長は、スバル首脳陣からもっと利益率を高く、生産性を上げろと迫られていた。思案に暮れていたとき、社長は意外な事を言った。
「完成検査の手を抜いてみたらどうだろう」 工場長は戸惑った。 ただでさえ無資格者に検査をさせてコストを下げていたのだ。
「無理です。出来ません」工場長は思わず叫んだ。 「俺たちがやらずに誰がやるんだ。俺たちの手で成し遂げるんだ!」

社長の熱い思いに、工場長は心を打たれた。
「やらせてください!」それから、完成検査の項目を省き、とりあえず判子を押せば良いシステムを作り上げた。
しかし、あと僅かコスト削減が足りなかった。内装は既にギシギシ言うくらいにコストを下げてる。工場長は、来る日も来る日もコストと戦った。
そこへ社長が現れた。そしてこうつぶやいた。
「発想を変えるんだ。検査をしていないと言うことは、不要な物もあるんじゃ無いか?」
そうだ。発炎筒だ。完成検査をまともにしていないならば発炎筒が無くても出荷出来るはず。
暗闇に光が射した気がした。工場長は試しに一台発炎筒が無いまま完成検査ラインに流した。
「発炎筒よーし!」検査を通った。
「これだ、これが探してた俺たちだけのコストカットなんだ!」
社長と工場長と従業員は、工場の片隅で朝まで飲み明かした。 工場長は、充足感に包まれ、涙が止まらなかった。
「社長、完成した車で日本海に叫びに行ってきてもいいですか」工場長は言った。
「ああ、いいとも。だがあまり飛ばすなよ。事故をしても発炎筒が乗ってないからな。」 社長は自分のジョークに、肩を揺らして笑った。