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1994.05.23
「焦点は聖域案の採決、IWC総会開幕」(共同通信)
国際捕鯨委員会(IWC)第四十六回総会が二十三日(日本時間二十四日)から二十七日(同二十八日)までメキシコの保養地プエルトバジャルタで開かれる。
今年の総会で最も注目されるのは、南緯四○度以南の全海域を鯨の禁漁区とする南極海サンクチュアリ(聖域)案の採決。
昨年の京都総会では、聖域案は加盟四十カ国のうち投票した国の四分の三以上の賛成が得られず継続審議となっていたが、
京都総会で反対したチリと棄権したデンマークが今年は賛成に回るとみられることなどから可決される可能性が高まっている。
聖域が設定されると、日本が再開を目指している南極海の商業捕鯨は半永久的に禁止。
聖域案は、現在日本が南極海で行っている調査捕鯨を対象にしていないが、水産庁幹部は「調査捕鯨も対象になるのは必至」とみている。
このため、日本は「頭数が多いミンククジラは聖域案から除外する」という対案を準備、ノルウェーなど捕鯨推進国から総会に提案させる考え。
しかし反捕鯨国の反発は避けられず、対案の可決は極めて難しい情勢だ。
日本政府代表の島一雄水産庁次長は「聖域案が可決されたら、IWCとの付き合い方を考えなくてはいけない」と、脱退の可能性もあることを明らかにしている。
日本はこのほか、日本沿岸の小型捕鯨でミンククジラ五十頭の捕獲を認めるよう要求する。
今年はアラスカ、グリーンランドなどの原住民に認められている生存捕鯨の捕鯨枠が更新されることから「古来から行われてきた日本の沿岸捕鯨だけが認められないのは不平等」(水産庁幹部)などと各国に訴える構え。