昨年6月に神戸市の洋菓子メーカー「ゴンチャロフ製菓」の男性社員が自殺したのは長時間労働とパワーハラスメントが原因だったとして、男性の母親が今年9月、西宮労働基準監督署に労災申請した。母親は「息子を苦しめた会社の責任を問いたい。若い社員を使い捨てにするような社会であってほしくない」と訴えている。【生野由佳】

 亡くなったのは前田颯人(はやと)さん(当時20歳)。母和美さん(43)が9月27日付で労災申請した。

 代理人弁護士らによると、前田さんは2014年4月に入社し、ゴンチャロフ製菓東灘工場でチョコレートなどの製造を担当していたが、タイムカードを基に残業時間を調べたところ、15年9〜12月に月87〜109時間の超過勤務があった。上司にあいさつをしても常に無視され、毎日のように大声で怒鳴られるなど、執拗(しつよう)なパワハラを受けてうつ状態にあり、昨年6月24日、JR摂津本山駅(神戸市東灘区)を通過中の快速電車に飛び込み、死亡した。

 和美さんによると、颯人さんは15年12月ごろから食欲がなくなり、趣味のツーリングをしなくなった。日ごろから相談を受けていた和美さんは「もう仕事を辞めたら」と声をかけたが、颯人さんは「上司から『辞めたら、お前の高校からは採用しない』と言われた。辞められない」と話していたという。友人に「鬱(うつ)かもしれん」とメールも送っていた。

 自殺の前夜、和美さんが年の離れた弟妹の世話で忙しくしていたところ、颯人さんが洗い物をしてくれた。「ありがとう、助かるわ」。そう言葉をかけたのが最後になったといい、和美さんは「息子は優しく真面目な性格だった。第2、第3の颯人を出さないように、会社の責任を明らかにすることが私の使命」と語った。

 工場責任者の工場長は「時間外が80〜100時間を超える時間外労働の事実はなく、パワハラも認識していない」と反論したうえで「労基署の判断を待ちたい」としている。

颯人さんの遺影を手に、仕事で悩んでいた様子を語る母の和美さん=兵庫県芦屋市で
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20171222-00000020-mai-000-view.jpg

配信12/22(金) 9:47
毎日新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171222-00000020-mai-soci

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