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●「横断歩道を渡ろうとする歩行者がいると必ず停止するようにしています。これはマナーではなくルールです。運転免許証を持つ全ての人は免許を取るときに習ったはずです」(大阪府・40代男性)

●「歩行者がいる場合は必ず停止するが、対向車線の車が停止せず、後続車両からの催促などでやむなく発進せざるを得ないことがたまにある」(茨城県・50代男性)

●「原則は横断歩道付近では減速し、歩行者がいれば止まって譲っています。たまに車に先を譲ってくれる人がいますがかえって対応に困ります。先に渡るよう促しても渡ってくれないので仕方なく車を動かし始めると斜め横断してくる人や自転車がいてひやりとした経験が何度もあります」(東京都・40代女性)

●「確かに止まらないことは多かった。最近は全部止まっています」(京都府・60代女性)

■9割以上、止まらず JAF調査

 「日本では信号機のない横断歩道で歩行者が待っていても車は止まらない」。この主張についてみなさんの実感を尋ねた朝日新聞デジタルのアンケートには「同じ」「近い」の回答が合わせて8割を超えました。

 実際に止まらない車は、どの程度か。参考になるのが、今年8〜9月にJAFが取り組んだ実地調査。昨年に続いて実施しました。片側一車線の道路(付近の制限速度が時速40〜60キロ)にある、信号機のない横断歩道を選びました。各都道府県2カ所、計94カ所で平日の午前10時〜午後4時に調べ、通行車両は1万251台でした。

 JAF職員が歩行者役になって横断歩道の端に立ち、ドライバーに視線を送るなど、渡ろうとするそぶりを見せる(手を上げるなどのジェスチャーはなし)といった条件をそろえ、晴天時のみに実施しました。その結果、一時停止した車は867台、8.5%(昨年比0.9ポイント増)に過ぎず、9割以上の車が停止しませんでした。

 いちばん停止率が高かったのは昨年に続き、長野県(長野市内、2カ所平均64.2%)。全国94カ所のうち2カ所(昨年は8カ所)の横断歩道では、一時停止率が0%、1台も止まりませんでした。

 一方、JAFは昨年6月、ホームページ(HP)で全国の自動車ドライバーに「交通マナー」に関するオンラインのアンケート(有効回答者6万4677人)をしています。「信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしているのに一時停止しない車が多い」に、「とても思う」43.7%、「やや思う」42.5%と、85%以上が、ルールが守られていない現状を認めています。半面、「信号機のない交差点で歩行者が渡ろうとしているときは一時停止しなければいけないことを知っているか」の質問には、「知っており、行動に移している」が70.7%と、「知っているが、たまにしか行動に移せていない」の27.8%を大きく上回りました。

 「自分は一時停止しているけれど、全体的にはルールが守られていない」と思うドライバーが多くアンケートに答えたようです。

 またJAFは今年6月に、ドライバーが信号機のない横断歩道で一時停止しない(できない)理由について、HPでアンケートをしました(有効回答者数4965人、三つまで回答可)。その結果、「自車が停止しても対向車が停止せず危ないから」を選んだ人が44.9%で一番多く、「後続車が来ておらず、通り過ぎれば歩行者は渡れるから」41.1%、「歩行者が渡るかどうかわからないから」38.4%などが続きました。(中島鉄郎)