2017年3月から10月末までに全国で発生した不審者事案のうち、出没エリアの近隣に鉄道の駅があったケースは全体の約4割で、多発する駅では期間内に最大で9件の不審者情報があったことが、筆者が代表を務める「日本不審者情報センター」の分析からわかった。

センターでは、全国の警察や自治体が公表する不審者情報を独自に編集・配信し、データベース化している。今年3月から10月末までの7カ月間に配信した不審者情報は計1万1607件。このうち、出没エリアの近隣に鉄道の駅があるケースは4487件だった。最多となる9件の事案があった駅は全国に25駅あった。

■「下半身露出」最多は志木と梅島

対象となった事案は、声かけ、つきまとい、痴漢、露出、暴行、盗撮、のぞき、危険物所持、下着盗、路上強盗など。車上狙いや空き巣といった「人をターゲットにしていない事案」は対象外だ。

この中で、「下半身露出」の不審者情報がもっとも多かったのは東武東上線の志木駅(埼玉県新座市)周辺と、東武スカイツリーラインの梅島駅(東京都足立区)周辺だった。志木駅周辺については期間内に全国最多タイとなる計9件の不審者情報を配信しており、このうち男性による下半身露出も全国最多タイの6件だった。8月と10月には、下半身を出して女性につきまとったり、追いかけたりする悪質な事案も起きている。

志木駅周辺で発生した各事案の概要は次のようなものだ。場所は南口側(南西側)が中心で、8月11日に発生した卑わいな行為の事案のみ東口側(北東側)で起きている(カッコ内は発生日)。6月以降、下半身露出者がほぼ毎月出没したことがわかる。

・下半身を出しているのを女性が目撃した(7/7)
・下半身を出し、女性につきまとった(8/7)
・女子生徒にカメラを向けた(8/10)
・女性に下半身を見せた(8/11)
・下半身を出し、卑わいなことをしているのが目撃された(8/11)
・ベランダに干してあった女性用下着が盗まれた(8/27)
・女性に暴行を加えた(9/7)
・下半身を出し、女性を追いかけた(10/23)

一方、梅島駅周辺はもっと極端だ。同駅周辺については計6件の不審者情報を配信しており、すべて下半身露出だった(分類上は公然わいせつ5件、下半身露出1件)。10月上旬は続発している。場所は南東側の線路沿いが中心だ。

・公然わいせつをおこなった(5/28、梅田7丁目)
・下半身を出し自転車に乗り、発言(見て見て)した(8/13、梅田5丁目)
・公然わいせつをおこなった(10/7、梅田7丁目)
・声をかけ(見てくれ)、公然わいせつをおこなった(10/10、梅田7丁目)

■警察によって違う不審者情報の内容

不審者情報は各都道府県の警察ごとに、公表される内容が詳細かどうか、情報を出すこと自体に積極的かどうか、という点で大きな違いがある。

埼玉県警が出す不審者情報は、内容は簡素だが、とにかく量が多いのが特徴だ。8月11日に発生した2つの事案は、埼玉県警の情報では次のような書き方だった。

・「下半身を露出し、卑わいな行為をする男を目撃したとの情報が寄せられました」
・「女性が男に露出した下半身を見せつけられたとの情報が寄せられました」

警視庁も内容は簡素だ。連続発生した10月9日と10日の事案で、警視庁はほぼ同じ文面を使って配信した。

・「足立区梅田7丁目の路上で、公然わいせつ事件が発生しました」

いずれも発生直前の状況が書かれていないため、どのような行動を前兆として警戒すればいいのか、地域住民にはわからない。

一方で、直前の様子を詳しく伝える警察もある。その1つが静岡県警だ。

・「(女子高校生が)徒歩で帰宅途中、体にイルミネーション用の電球を巻き付けた男が、短パンをずらして下半身を露出した」(函南町仁田)
・「(女子高校生が)徒歩で下校途中、男がズボンを下げて、股間に筒のようなものを当てて振って見せてきた」(掛川市中央)
・「(女子中学生数人が)徒歩で登校途中、しゃがみこんでいた男が突然立ち上がり、ズボンのチャックを開けて下半身を露出した」(沼津市岡一色)

これらは、静岡県警が実際に公表した女子生徒に対する露出事案だ。どのような不審行動があったのか具体的にわかる書き方になっており、万が一似た状況に遭遇することがあれば、直前に心構えができる。

以下省略 全文はソース先で

東洋経済オンライン 2017年12月26日
http://toyokeizai.net/articles/-/202563