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12月27日 5時45分e
大阪・寝屋川市で33歳の長女の遺体を自宅に隠したとして両親が逮捕された事件で、長女が閉じ込められていた部屋には、暖房器具がなかったことが警察への取材でわかりました。極端に痩せていた長女の死因は凍死で、警察は長期間にわたる監禁の実態を詳しく調べています。

大阪・寝屋川市の会社員、柿元泰孝容疑者(55)と妻の由加里容疑者(53)は、長女の愛里さん(33)の遺体を自宅に隠していたとして、死体遺棄の疑いで逮捕されました。

警察によりますと、自宅の敷地内に建てられた小屋の中に、広さ2畳ほどに仕切られた鍵の付いた部屋が設けられ、調べに対し、両親は「精神疾患がある娘が暴れたりしないよう10数年にわたって閉じ込めていた」と供述しているということです。

これまでの調べによりますと、部屋には監視カメラややり取り用のインターフォン、それに、簡易トイレがありましたが、暖房器具はなく、コンクリートの上に布団が敷かれていただけだったことが警察への取材でわかりました。

愛里さんの死因は凍死で、体重が19キロほどと極端に痩せていて、背中には床ずれがあったということで、警察は長期間にわたる監禁の実態や死亡したいきさつを詳しく調べています。

専門家「相談しやすい環境必要」

精神障害者と家族の問題に詳しい大阪大学の蔭山正子准教授は、監禁事件にまで発展するのはまれだとしたうえで、今回の事件について、「世間にはまだ精神疾患に対して悪いイメージがあり、『恥』だということで病気を隠そうとする家族は多い。今回は亡くなった女性が暴力を振るったという話が出ているが、暴力が起きると近所に迷惑がかかるという心理が働き、より隠そうとして家族内で抱え込んでしまう。今回もそうした心理があったのではないか」と話していました。

また、今後、社会で取り組むべき課題について、「家族がやっとのことで病院に相談しても、本人を連れてくるよう求められる。暴れたりする場合は本人を連れ出すのは難しく、家族がさらに孤立を深めてしまうケースが多い。病気に対する理解を社会の中で深めるとともに、今後は訪問医療の体制を充実させるなど、家族が相談しやすい環境を作ることが必要だ」と話していました。