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登山道修正のイメージ図。登山者が歩いた軌跡は緑色の点のように表示され、そのデータに基づいて正確な位置に道を記載する=国土地理院提供
国土地理院(茨城県つくば市)は、登山者がスマートフォンや携帯型GPS(全地球測位システム)受信機で取得した移動経路の記録を活用し、古くなった「2万5000分の1地形図」など地形図の登山道の修正作業を始めた。
地形図の修正に「ビッグデータ」を使うのは初めてで、大幅な省力化と、正確な作製が期待できる。
地理院によると、地形図は空中写真や現地調査に基づいて作り、現在発行している全国各地の地形図は、昭和40年代までに作ったものが基礎になっている。
その後、高速道の開通など変化に合わせて修正を重ねている。
登山道については、新たにできたり、土砂災害で廃道になったりするほか、記載されている位置がそもそも間違っているケースもある。
登山者が道に迷って遭難することが懸念されるが、山深い場所を全て現地調査するには負担が大きく、修正が難しかった。
近年、登山者にはスマホやGPS受信機で移動ルートを記録し、ネット上に公開する人も少なくない。
そこで地理院は、登山者が記録を登録するサイトを運営する「ヤマレコ」(長野県松本市)と「ヤマップ」(福岡市)の2社と今月12日に協定を締結。
両社が蓄積している計約300万件のデータの一部を匿名化したうえで提供を受け、その軌跡を登山道の修正に利用する。
来年の夏山シーズンに向けて、穂高岳(長野県、岐阜県)など登山者の多い山から取りかかり、順次拡大する。
ヤマレコの的場一峰(かずみね)社長は「登山者が他の人の安全に貢献するといういいコミュニティーができるのではないか」と話す。
毎日新聞 2017年12月26日 18時38分(最終更新 12月26日 18時52分)
https://mainichi.jp/articles/20171227/k00/00m/040/037000c