■文部科学省「部活動は地域で」

昨年末、文部科学省は「学校における働き方改革に関する緊急対策」を公表した。
そこで言及された具体的な業務内容のなかで、もっとも手厚い記述があったのが「部活動」である。
そしてそこには、部活動を学校から地域に移行するという展望が示されていた。

これまで部活動は学校を基盤にして発展してきただけに、文部科学省は大胆な改革の方向性を示したと言える。
他方で、この点を掘り下げた報道はほとんどない。

私は文部科学省の方針に賛同するものの、地域移行の実効性には懐疑的である。
というのも、学校の内外から、地域移行への根強い抵抗があるからだ。

はたして学校から部活動はなくなってしまうのか。
地域移行の実現可能性について考察する。

■外部委託ではなく切り離し

「学校における働き方改革に関する緊急対策」では、「教師の勤務負担の軽減や生徒への適切な部活動指導の観点」から、「部活動指導員や外部人材を積極的に参画させるよう促す」と、部活動の外部委託をいっそう進めることが提言された。
外部指導者は1990年代後半頃から、「開かれた学校づくり」のなかでその必要性が訴えられるようになり、2017年度時点で全国に約31,000人が部活動の指導にあたっている(日本中学校体育連盟調べ)。

この意味での「外部化」は、けっして目新しいことではない。
だが今回の文部科学省の提言は、次のとおり、部活動指導の一部を外部委託することを超えて、完全外部化に踏み込むものである。

“将来的には、地方公共団体や教育委員会において、学校や地域住民と意識共有を図りつつ、地域で部活動に代わり得る質の高い活動の機会を確保できる十分な体制を整える取組を進め、環境が整った上で、部活動を学校単位の取組から地域単位の取組にし、学校以外が担うことも検討する。”
出典:文部科学省「学校における働き方改革に関する緊急対策」(2017年12月26日発表)より

すなわち、「地域で部活動に代わり得る質の高い活動」という表現にあるように、外部委託というよりも、部活動を学校から切り離して、「地域単位の取組」に移行させようというのである。

■画期的な提言
 
部活動指導は、教員の長時間労働の主要因となっている。
かつ授業とは異なって部活動は、生徒の自主的な活動にすぎない。
だから、部活動を学校から切り離すことで、長時間労働が大胆に解消される可能性がある。

私は文部科学省が、部活動の全面移行に言及したことを、とても高く評価している。
部活動は長らく、日本の学校に特有の活動として根づいてきた。
それだけに、これに代わる活動を学校外に求めるというのは、画期的な提言であり、部活動改革の新たなステージが始まったと言っても過言ではない。

だが地域への移行は、簡単にはできるものではない。
むしろ、課題ばかりである。
大なり小なりのさまざまな課題があるものの、ここではとくに、部活動を学校から切り離す「意識」に着目して、その困難を示したい。

■教員は賛否真っ二つ

連合総研が2015年12月に実施した全国調査(『とりもどせ!教職員の「生活時間」』(2016年))では、そもそも公立中学校教員の38.1%は、部活動を教員の「本来的業務だと思う」と回答している。
これは一方で、「本来的業務だと思わない」が43.3%に達すると強調することもできる。

部活動指導の負担は大きく、かつ部活動は必ずしも教員が担うべきものではないにもかかわらず、部活動指導を「本来的業務」と考える教員は、けっして少なくない。
本来的業務とは考えない教員と、ほぼ同程度存在する。

これは、他職種に移行すべきかどうかについても、同様の傾向が認められる。
部活動指導を他職種に「移行すべきではない」、すなわち、学校の教員で担うべきと考える教員(44.6%)と、「移行すべき」と考える教員(55.4%)は拮抗している(なお、この質問においては「わからない」という選択肢は用意されていない)。
部活動を地域等の学校外部に移行させることをめぐっては、職員室は賛否真っ二つに分断されている。

http://blogos.com/article/268878/

★1:2018/01/03(水) 08:22:54.22
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