2018年1月9日 4時0分
日本の青木ヶ原樹海に潜入し、自殺遺体を撮影するなどして大ヒンシュクを買った世界トップYouTuberのローガン・ポールさん(22)について「この人の作る動画はハチャメチャなだけで面白くもなんともない」という記事を書かせていただいた。動画投稿で一攫千金を可能にさせるYouTube側のシステムや倫理観を問う声も多々あるなか、記者がもう1つ気になるのは、“〜チャレンジ”という名のもと、こうしたサイトを通じて危険な行為が若者の間でブームになることである。イジメの被害者が強要されたり、挑戦した少年少女が重傷を負ったり命を落としたりしているためだ。2014年の夏あたりから世界にも広がった「アイス・バケツ・チャレンジ」を覚えていらっしゃる方は多いと思うが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の研究支援を目的という立派な大義名分もイジメとして悪用され、酔った勢いで挑戦して重いバケツが頭に落ちたり、急激な冷えで心臓がおかしくなったなどと救急車が出動する騒ぎも絶えなかったのだ。アイス〜がすたれた後も「熱湯いっき飲みチャレンジ」、「ダクトテープチャレンジ」などが流行ったアメリカ。今また新たに…。

米ノースカロライナ州ローワン郡のソールズベリーに暮らすポルシア・ウォーカーさん。やるせない思いでいっぱいだという彼女は先月上旬、幼い息子が挑戦したある愚行とそれを流行らせたYouTubeに対する怒りを地元メディアにぶつけた。少年はロンダリウス・バーンドハート君(7)。YouTubeで今、手の上に火の玉を造る、炎を自由に操ってみる「ファイアー・チャレンジ」なるものが流行っていることを知り、自分たちも動画を投稿してみたいと兄弟でこっそりとそれに挑戦してしまったという。

動画で年長者たちは楽しそうに火や炎を弄んでいるが、ライターと可燃性ガスが入ったエアゾールスプレー缶を接近させて同時に使用することの危険性を7歳児はどこまで理解していたか。手に続いてはシャツでというアイデアに従い、ロンダリウス君はスプレーを自分のシャツに吹き付けてライターで点火。当然ながら悲惨な大やけどを負い、ウェイクフォレスト・バプテスト医療センターに救急搬送された。顔、腕、そして手に負った2〜3度の熱傷について今なお治療を受けており、医師からは今後の皮膚移植についても説明を受けている。

ロンダリウス君の大きな叫び声に父親が気づいて何とか彼を助けたが、炎はなかなか消えずシャツを引き裂くしかなかったとのこと。火だるまになってしまった息子の姿に父親も相当のショックを受けているといい、涙を浮かべて「たった3秒間の愚行で息子の人生は狂ってしまいました。本当に可愛い顔をした男の子だったのに。こんな不幸なことが起きないよう、どのご家庭でも十分に気を付けて下さい」と語るポルシアさん。悔やんでも悔やみきれない様子だ。

非常に危険で幼い子供たちが決して真似をしてはならないものも多い「〜チャレンジ」と呼ばれる愚行。2016年2月にはシアトルで、当時流行っていた「ダクトテープチャレンジ」で恐ろしい事故が起きた。これは粘着力がとても強いダクトテープで手首、足、体をグルグル巻きにされイスなどに縛られてターゲットが、いかに早くそれを外して逃げ出すかを競うもので、犠牲となったのは14歳の男子中学生。コンクリートに強打した頭は48針縫う重傷で、眼球を窓枠の角に強打して片目を失明していた。

また昨年夏にはフリロダ州で、イトコに「YouTubeで挑戦している人がいる」として煽られた8歳の女の子がとんだ愚行により命を落としている。ストローを使って熱湯を一気に飲むという極めて危険なもので、気管の深刻な熱傷により慢性呼吸不全に陥り、その末の無念の死であった。

大きな事故がたびたび起き、大人や社会が厳しく監視するようになるとその流行はあっという間にすたれる。だがどこに仕掛け人がいるのかまた新たな流行がすぐに生まれるのが現状で、どの学校でもPTAはやっきになってその情報を収集し、対策を練るものである。「こんな愚行が流行るのもSNSや動画共有サイトのせい」「子供が何に興味を示しているのかがよく見えた昔は平和だった」と嘆いてもこの問題は解決できない。学校関係者や当局まかせにせず良識ある大人たちはどんどん問題の動画を通報するべきで、サイト管理者も素早い対応を見せるべきである。そして、有益な動画にのみ評価や収益を与えるようなシステムに改善されることを願わずにはいられない。

http://news.livedoor.com/lite/topics_detail/14130888/