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 ウイスキーなどの国産酒類の輸出金額と数量がいずれも過去最高を更新したことが8日、国税庁への取材で分かった。平成29年1〜10月の累計で、すでに28年の総量を超え、金額は6年連続、数量は3年連続で最多となった。日本産ウイスキーの世界的な人気の高まりに加え、急増するインバウンド(訪日外国人客)でファンが増えたことも後押ししたとみられる。

 国税庁によると、28年の酒類輸出金額は約430億円、数量が12万4710キロリットルだった。29年は、1〜10月時点ですでに輸出金額が約439億円(前年同期比24・9%増)、数量が13万6788キロリットル(同32・1%増)と28年の1年間をいずれも上回った。

 29年1〜10月で輸出金額が最も多いのは日本酒で147億円と、全体の33・6%を占めた。2位がウイスキーの116億円で26・4%、ビールは104億円で23・7%だった。特に、ウイスキーやビールが前年同期に比べ、3割前後伸び、日本酒に迫る勢いで全体の数字を押し上げている。

 国税庁によると、好調の背景として、世界の酒類競技会でウイスキーなどが数々の賞を獲得し「海外で日本産の品質全体への評価が高まった」と分析。また、海外での和食店の増加に応じ、国産酒類が飲まれる傾向も強まっているという。

 日本政府観光局によると、29年の訪日外国人客数は11月時点で、過去最高の約2600万人を記録。インバウンドを取り込もうと、酒蔵や蒸留所をめぐる外国人向けのツアーも多数企画されており、訪日をきっかけに国産酒類のファンが増えたことも輸出増加に寄与しているとみられる。

海外から日本産ウイスキーに熱い視線が注がれている。全国の蒸留所は、訪日外国人客の人気観光スポットとなり、インターネット上で高値で売り買いされる代表銘柄を、転売目的の外国人バイヤーが買い占めるケースも確認されている。「品質が世界に認められ、各国で好んで飲まれている結果だ」。専門家は、こう見ている。

 「本場・ヨーロッパでもジャパニーズウイスキーは人気ですね」。数十年前に仕込まれた褐色の大樽が整然と並ぶ大阪府島本町のサントリー山崎蒸留所で、見学に参加したドイツ人のカイ・シュトイカナゲルさん(41)はこう話す。香港から訪れたジョー・チンさん(42)も「味が繊細で飲みやすい」と絶賛する。

 サントリーでは、平成20年から、英語、中国語、フランス語に対応するイヤホンガイドを順次導入。当初は1%以下だった外国人見学者の比率が推計で30%近くにまで急増した。

 仙台市のニッカウヰスキー宮城峡蒸留所でも28年の外国人来訪者数が前年に比べ40%以上増えたという。JTBによると、外国人向けに蒸留所を巡るツアーも企画されているという。

 人気の背景について、酒類貿易に詳しい近畿大経営学部の勝田英紀教授は「海外の土俵で勝負し、品質が認められたことが大きい」と指摘する。

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