捕獲が難しくなっているシャチについて、名古屋港水族館(名古屋市港区)と三重大(津市)が繁殖に向けた共同研究を始めたことが11日、分かった。同水族館で飼育する若い雌雄が成熟するまで詳細に観察し、将来の繁殖技術の研究につなげたい考え。

国内で飼育されているシャチは現在、同水族館の3頭と鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)の4頭のみ。いずれも血縁関係が近く、現状では繁殖は難しいとされる。
日本動物園水族館協会(JAZA)は2015年、会員の水族館などに対し、国内の追い込み漁で捕獲されたイルカの調達を禁止。シャチについても個体の入手が困難となっている。

三重大は16年、イルカなどの繁殖技術確立を目的に鯨類研究センターを設置。名古屋港水族館は飼育する雄のアース(9歳)と叔母に当たる雌のリン(5歳)で、20年までの3年間をめどに三重大と共同で基礎研究を進めることにした。
 具体的には、まだ若い2頭に与える餌の量を細かく管理し、性成熟期までの個体の成長や行動を詳しく調べる。成長に伴う音波でのコミュニケーションの変化についても研究する。

配信(2018/01/11-20:15)
時事ドットコム
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