京都市バス「前乗り」導入へ 実験で時間短縮効果
2018年01月13日 08時13分
www.kyoto-np.co.jp/top/article/20180112000240

 京都市交通局は12日、観光客の増加で車内混雑が目立つ市バスの乗降方式について、前方から乗って運賃を先払いし、後方から降りる「前乗り後降り」方式を順次導入する方針を表明した。昨年の実証実験で、乗降や停車にかかる時間の短縮効果があったとして決めた。近く一部路線で始め、最終的には全83系統のうち均一運賃区間の計61系統で実施を目指す。
 京都市バスは現在、後方から乗って前方の降り口で運賃を払う「後乗り前降り」方式を採用している。「前乗り後降り」の一部導入で方式が混在するが、市交通局は「市民や観光客への周知を徹底したい」とする。
 関東圏などでは逆の方式も多い上、京都の「後乗り前降り」は、地理に不慣れな観光客が降車口に近い車内前方に集まりがちで、後方の乗客が降りにくい。一方で「前乗り後降り」は、後方ドアが広い上、車両中央部にあるため、車内の前方、後方のいずれにも近く、降りやすい利点がある。
 実証実験は昨年10月と12月の週末の計5日間、1便あたり乗客数が最多で、清水寺や銀閣寺などの人気観光地を巡る100号系統で実施し、結果を「後乗り前降り」の状況と比べた。
 各バス停での1人当たりの平均乗車時間は、後乗りの2・9秒に比べ、前乗りでは運賃を支払う必要があるため4・4秒になった一方、降車時間は後乗りの3・6秒から前乗りでは1・9秒に短縮した。乗車と降車の時間を合わせると、後乗りの6・5秒に対して前乗りは6・3秒と微減した。
 前乗りでバスがドアを開けてから閉めるまでの停車時間の平均値は、後乗りに比べ11・5秒短かった。同局自動車部は要因について、1人当たりの平均降車時間の短縮効果が積み重なったことを挙げたほか、「後乗り前降りは、降りる客を優先するため、乗車まで待ってもらう場合もあったが、前乗り後降りでは前後のドアを同時に開けられた」と分析している。
 12日の市議会委員会で、市交通局は「乗客アンケートでも前乗り後降りにおおむね好意的な評価を得た。車両やバス停の改修など課題を解消しながら、できるだけ早い時期に可能な路線から導入したい」と説明した。