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 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に隣接する市立普天間第二小学校(児童数約640人、喜屋武(きゃん)悦子校長)の校庭に、米軍大型ヘリコプターが窓を落下させた事故から13日で1カ月。事故後も学校周辺上空での米軍機の目撃が相次ぐなどし、利用再開のメドが今も立たない校庭には、子どもたちの歓声が戻っていない。保護者は「学校上空を飛ばさないで。子どもたちに安全な学校生活を送らせてあげたい」と切実な声を上げている。【佐藤敬一】

 ◇100%飛ばない約束を

 普天間第二小では9日に3学期が始まったが、安全が確保されていないとして、校庭の利用についての結論がまだ出ていない。

 米軍は事故後の飛行再開にあたり、「学校上空は最大限飛ばない」と説明した。しかし宜野湾市教委などによると、学校周辺を飛ぶ米軍機の目撃情報が複数ある。子どもたちの心のケアなどのために、事故後に始めた臨床心理士と保健師の学校への派遣も続けている。

 沖縄防衛局は、学校の冬休み中に、カメラ4台を校舎や校庭に設置した。校庭利用再開への環境整備として米軍機の監視態勢を整えるのが目的で、今後、監視員も5人配置する方針だ。市教委は「学校や保護者と協議し、なるべく早く(学校生活を)通常に戻したい」とするが、保護者の不安は今も強い。

 3年生と1年生の息子2人を持つ40代の母親は「『最大限』ではなく100%飛ばないと約束をしてほしい。飛ばなければ、ヘリが落ちたり、物が落ちたりしないわけですから」と力を込める。

 自身も普天間第二小の卒業生。授業中、教師が米軍機の爆音に妨害された回数を数え、黒板に正の字を書いていたのを覚えている。「せめて学校にいる間だけは、子どもたちを安全に過ごさせたい。なぜ、ささやかな願いがかなわないのか」と唇をかむ。

 年が明けても沖縄では、うるま市の伊計島(6日)と読谷村(8日)で米軍ヘリが不時着した。6年生の次女がいる島津夕希さん(46)は「ばかにされているとしか思えない。米軍からは何も緊張感が伝わってこない」と憤る。

 事故やトラブルの度に沖縄県が飛行中止を求めても、米軍は聞き入れない。それを日本政府は容認する。「何が起きたら政府は動いてくれるのか。残念で仕方がない」と続ける。

 6年生の長女が通う新城ゆかりさん(46)は言う。「本土の人たちにも、実際にこの小学校に立って沖縄の現実を見てほしい。そして私たちの思いを共有してほしい」