http://yomiuri.co.jp/economy/20180113-OYT1T50076.html

 富山県は、富山湾の定置網でとれてしまうクロマグロ(30キロ未満)を逃がす技術の確立に乗り出す。

 クロマグロは乱獲を防ぐために国際的に漁獲量が制限されているが、富山湾ではブリ漁などで一緒にとれる「混獲」が課題となっており、効率よく逃がす方法を研究する。

 クロマグロは資源の減少が懸念されるため国際機関によって各国の漁獲量が決められ、国内でも巻き網、さお釣りなど漁法ごとに漁獲量が定められている。

 定置網の今期(昨年7月〜今年6月)の上限は580・542トン。定置網漁の共同管理をしている20道府県で漁獲量を割り振り、資源保護に努めているが、昨年12月8日現在の漁獲量(速報値)はすでに上限を大きく超える873・2トンに上り、富山県も国から操業自粛を求められている。

 ただ、富山湾の漁業はブリやホタルイカなどを定置網でとる沿岸漁業が中心で、特定の魚だけを選んで漁をするのが難しい。これまでのところ富山県は2・6トンと上限(66・96トン)には満たないが、昨期は上限を超えた。今期もブリ漁が最盛期に入るのにともなって増えるとみられる。

県はクロマグロをできるだけ放流するよう漁業者に呼びかけてきたが、効率的に漁獲を減らす対策が必要だと判断。新たな技術開発に取り組むことにした。

 県は今年度中に、水中カメラを使って、定置網の形状や大きさ、水温などの違いによって網の中に入ったクロマグロがどう泳いでいるのかを調べるほか、どんな魚が定置網で混獲されているのかといったことなどを調査する。昨年11月補正予算でクロマグロ資源管理対策事業として150万円を計上した。

 今年度の調査を足がかりにして、新年度以降の研究につなげたい考えで、クロマグロの有効な放流方法を探る。県水産漁港課の担当者は「定置網漁を続けるためにも、クロマグロの効率的な放流方法を見つけたい」と話している。