■修繕費用も搾取か

 まだほかにも問題がある。レオパレス21については17年8月にも、借り上げしているアパートの管理上の問題で訴訟が起こっている。借り上げ中のアパートについては、そのアパートの管理についても請け負うことが多く、その管理面でトラブルが起きたのだ。

 17年8月29日、レオパレス21が契約通りに修繕を行っていないとして、静岡、岐阜、愛知、三重各県にアパートを所有する29人が、修繕契約の無効と支払った修繕費計約1億4700万円の返還を同社に求める訴訟を名古屋地裁に起こした。

 各オーナーと同社は、アパートの一括借り上げ契約を締結し、別途締結した修繕契約に基づき、同社が各オーナーから月額10万円前後の修繕費を賃料から差し引くかたちで徴収。オーナー側は、屋根の塗り替えなど一定期間に決められた修繕がほとんど行われていないと主張している。

 上の内容を細かく見れば、29人が1億4700万円の返還請求を行っていることから、1人当たり平均506万円。月10万円前後の修繕費とあるので、実に1人平均50カ月以上も搾取されていたことになる。もちろん、あくまでも返還請求された金額を平均しただけなので、人によってはそれ以上の長期間あるいは高額になるまで我慢していたオーナーもいると思われる。

 実際、同社に限らず多かれ少なかれ建物の修繕に対して頻度や実施内容と比べて契約上の金額が「取りすぎ」と感じられる賃貸管理会社は結構見受けられるが、それでも強くオーナーが要求すれば、多少金額の追加はあっても修繕の対応はするはずである。ところが、レオパレス21の場合は、オーナーが要求しても応じないからこそ訴訟になったのである。かなり悪質なケースと言わざるを得ない。

 オーナーが建設から一括借り上げ方式による賃貸管理まで一括して依頼するような仕組みでは、オーナーとしてアパートを管理する会社に対して本来当たり前にできるべき要求が非常に言いづらい状況になってしまう。オーナーにとっては管理を委託している会社である半面、家賃を支払ってくれる借主(お客)でもあるため、強く言いにくくなる。さらに、その事業者がアパートの建設も行っているため、その建物についてはオーナーよりもよくわかっていると考えてしまい、まだ修繕の時期ではないなど反論されてしまうと言い返せなくなってしまうこともある。

 ここまでの話をまとめると、土地のオーナーはうまい話に乗せられて、建築費で搾取され、修繕費を支払ってもまともなサービスを受けられず、少し古くなると入居者が入らなくなるので家賃の減額をのまざるを得なくなり、最後には借り上げ契約を解約されるということになる。

 こう書いてしまうと「30年一括借り上げ保証」というものすべてが悪いもののように思えてしまうが、立地が良く、賃貸経営に適したアパートであれば、長期安定経営も可能である。

 これからアパート経営を考える土地オーナーにはよくよく考えてほしいと思うが、「借り上げ」という仕組みは、入居者が入る見込みが立つときにしか成り立たない。そうでなければ、借り上げた事業者がマイナスになるわけで、利益を追求するべき企業が借り上げる意味がない。

 言い方を変えれば、借り上げ契約などしなくても賃貸経営が成り立つところしか、借り上げ契約が成り立たないということになる。ただ、入居者の入れ替えなど一時的な空室時でも家賃が入る点は借り上げ契約のメリットといえるだろう。