https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180113-00000011-kobenext-l28

コケの魅力をご存じだろうか。一見地味だが、ルーペでのぞいてみると、繊細で美しい世界が広がっている。
10年ほど前から観光資源として注目され始め、静かに人気を集めてきた。各地で観察会が開かれ、
企画展の集客力は抜群。「苔(こけ)ガール」をターゲットにした宿泊プランを提供するホテルまで登場している。
「ルーペをのぞいたとたん、世界ががらっと変わる。新しい世界が開けた感動があった」。
昨年12月、京都市の貴船神社近くで開かれた観察会。半年前から参加している兵庫県川西市の
花谷ふみさん(69)が興奮気味にその魅力を語った。

観察会は愛好家らでつくる「岡山コケの会関西支部」(西宮市)が主催。京阪神をフィールドに月1回ほど開き、
毎回10〜20人ほどが集まる。参加者は小学生から80代までと幅広い。

この日は16人が参加し、木や岩肌、石垣の上、地面など至る所をルーペで観察。
「かわいい」「かっこいい」と歓声を上げ、写真を撮り、メモを取っていた。山道を行きつ戻りつ、
100メートル進むのに数十分かかることも。おのおのが自由にコケの世界に浸っていた。

入門書「コケはともだち」(リトル・モア)の著者、藤井久子さん(39)=神戸市東灘区=によると、
約10年前からコケを観光資源と捉える動きが広がり、各地で観察ツアーなどが開かれるようになった。
ここ3、4年はメディアで取り上げられることも増えた。

コケ好きの間で「三大聖地」の一つとされるのが、青森県の奥入瀬(おいらせ)渓流だ。
2012年からネーチャーガイドの会社が中心となりコケのアピールを始め、14年には自然観光資源の
調査研究や情報発信などを担うNPO法人を設立。川村祐一事務局長(62)は「渓流の景観で知られる
昔ながらの観光地だが、コケ好きに広まり、少しずつ変化してきた」と話す。

地元の奥入瀬渓流ホテルでは13年からコケの世界を満喫できる宿泊プラン「苔ガールステイ」を夏場に提供。
観察を楽しむだけでなく、コケを模したベッドカバーやクッションを備えた「苔ルーム」に泊まれ、
コケをイメージしたランチプレートやコケアイスもあり、苔ガールの心をがっちりつかむ。担当者は
「愛好家だけでなく、宿泊がきっかけでコケの美しさを知る人もいる」。

コケに関するイベントも増えている。京都府立植物園(京都市)では13年から毎年、企画展を開催。
3日間で3千〜4500人が集まり「企画展としてはトップクラスの集客力」(同園)。16年から企画展を開く
神戸市立森林植物園(神戸市北区)も「人気イベントで熊本や静岡から訪れる人もいる」とコケ人気を歓迎している。


ルーペで観察し、写真を撮る。コケ好きが全国に広がっている=京都市左京区
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20180113-00000011-kobenext-000-view.jpg