「110番の日」の10日、県内各地で110番通報制度の周知に関するさまざまな啓発イベントが開かれた。下関市の下関署では、外国人留学生を対象とした体験型の110番通報訓練を実施した。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、県内でも訪日外国人が増えていることから、110番通報制度の周知と警察活動の理解を深めてもらうために初めて開いた。

 10日は市内の東亜大で日本語を学ぶ中国やネパール、ベトナムなどの留学生61人を対象に訓練を実施した。県警では16年8月から県観光連盟が実施する多言語コールセンター「やまぐちコールセンター」を110番通報に活用し、現在では14カ国語の通報に24時間対応できるようになっている。こうした制度を留学生に知ってもらい、非常時にためらわずに通報してもらうのが狙いで、留学生を代表して中国とタイ、ベトナムの3人の学生が実際に母国語で110番通報をした。同大留学生別科2年、安樹〓(あんじゅうこん)さん(27)は「中国語で通報できることは知らなかった。訓練をやってみて、きちんと通訳してもらえるので良かった。日本語を聴くのは大丈夫だが、日本語で説明するのは苦手なので助かる」と話していた。

 同大によると、昨年、男子留学生のアパートに不審者が侵入したが、学生は日本語に不安があり通報できなかった事例があったという。同大留学生別科の松尾裕一准教授は「必要な訓練で、とてもいい機会となった」と話していた。

 学生たちはこの後、警察官とともに110番通報制度に関する広報紙を作製し、JR下関駅前で配り、PRした。

https://mainichi.jp/articles/20180111/ddl/k35/040/383000c