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2018/01/16(火) 13:32:06.42ID:CAP_USER9Web東奥
孤独だった。だから薬物の誘いを拒めなかった－。青森市の笹崎正吾さん（45）＝大阪府出身＝は、覚醒剤所持・使用で2回刑務所に入った経験がある。現在は薬物と手を切り、依存症者の社会復帰支援施設「青森ダルク」の施設長を務め、民間団体主催の懇話会や青森刑務所入所者への講話などで、自身の体験を明かす。依存症になった元恋人、心のしんどさを乗り越えられず自ら命を絶った仲間…。それらの人たちを思い起こし語る。「孤独の中で苦しんでいる仲間に手を差し伸べたい。一緒に回復の道を歩みたい」
笹崎さんは、しつけの厳しい家庭で育った。門限は午後6時半。食事で箸をつける順番やかむ回数まで決められ、アルコール依存だった父親は気に入らないことがあると、笹崎さんをすぐに殴った。
人目を気にしてビクビクしていた小中学時代、友達ができず、独りぼっちだった。「相手にしてほしい」。心の中で叫んでいた。
16歳の時、親の財布から現金を抜き取り、競馬場に通うようになった。レースに夢中になり、孤独も寂しさも忘れた。これが最初の依存症だった。
門限がなくなった20歳の時、スナックで、ある女性と出会った。人生で初めて親しくなった女性。急速に距離が縮まった。
「気持ち良くなるよ」。女性はある日、ビールに白い粉を入れた。覚醒剤だと分かったが、断れなかった。また独りぼっちになってしまうのが怖かった。
覚醒剤を日常的に使うようになると、仕事も行かなくなった。「どうでもいいやんけ」。一瞬の快楽に浸り、薬が切れるとまた覚醒剤を使った。
笹崎さんと同棲（どうせい）するようになった女性は次第に幻聴・幻覚に襲われるようになった。「盗聴器がある」と泣きながら、部屋中の物をかき回した。げっそりと痩せ、皮膚がボロボロになった姿が恐ろしくなり、見捨てるように笹崎さんは女性の元を去った。
その時には、笹崎さん自身も幻聴・幻覚に襲われるようになっていた。
26歳の時、覚醒剤売買の現場を捜査員に押さえられた。執行猶予となったが、すぐにまた薬を使い始めた。2度目の逮捕は29歳の時。約11カ月、加古川刑務所（兵庫県）に入ったが、服役中も薬のことで頭がいっぱいだった。
3度目の逮捕は、息子の異常を見かねた母親が通報した。2年2カ月、大阪刑務所に入った。
37歳になり、親から紹介された依存症者の社会復帰支援施設「山梨ダルク」に入所した。集団生活の中で、自身の生い立ちや内心を吐露し、仲間と心を通わすうちに、薬と手を切りたいという思いが強くなった。
仙台ダルクに約4年間、スタッフとして所属した後、昨年8月から、しばらく休止していた青森ダルクの再稼働とともに施設長となった。寂しさと孤独感から依存症になった人ら5人と一緒に暮らす。1日2回のミーティングで過去の記憶をたどったり、教会でのボランティア活動をしている。
昨年夏、治安の悪化を懸念する住民から青森ダルク開設の反対運動が起こった。ダルクの活動が事前に十分、説明されなかったことが住民の不信感を招いた。
「えたいの知れない人が来たら不安に思うのは当然。自分たちの立ち位置を気付かせてくれた人に感謝し、自分たちの活動が理解してもらえるように地道に取り組んでいきたい」と笹崎さんは言う。
ダルクに入って8年。これまで何人かの仲間が自殺した。未遂に終わった人もいる。周囲に迷惑を掛けた罪悪感か、それとも薬に勝てない自己嫌悪にさいなまれたのか。
笹崎さんは語る。「依存症は明らかに病気。根本的に直す必要がある。青森は、依存症者や経験者が助け合う団体が少なく、依存症脱却支援の環境が乏しい。少しでも依存症者が社会復帰できるように手助けできれば」
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▼ダルク
依存症者らの回復と社会復帰を支援している民間のリハビリ施設。依存症者が共同生活の中で薬物経験を語り合うなどして更生を目指す。日本ダルク（東京）によると、全国の約60団体・法人が約100施設を運営している。県内は青森市のみ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180116-16124042-webtoo-l02
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2018/img/0116m.jpg
