2018.1.20
 ツイッターで著名人らに論戦を仕掛けてきた新潟県の米山隆一知事が、ついに自身の投稿で訴えられた。大阪府立高校の頭髪指導訴訟をめぐる投稿で名誉を傷つけられたとして、日本維新の会代表で大阪府の松井一郎知事が、米山氏に550万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴したのだ。前代未聞、知事同士の法廷バトルの背景とは。

 「事実誤認にもかかわらず謝罪がなかった。僕と維新の会に対する侮辱で反省すべきだ」

 「一般国民の意見には、事実誤認があっても謙虚に拝聴しますが、公人は影響力をわきまえなければ」

 提訴が明らかになった18日、松井氏は府庁での記者会見や自身のツイッターでこう説明した。

 米山氏は2016年に新潟県知事に初当選したが、かつては維新に所属して13年の参院選に挑戦した過去もある。

 訴状などによると、きっかけは米山氏が昨年10月、ツイッターで大阪府立高での頭髪指導をめぐる訴訟に言及したこと。府立高の責任者は「維新の松井さん」とし、「異論を出したものをたたきつぶし党への恭順を誓わせてその従順さに満足する」などと投稿した。

 これに対し、松井氏側は「党内でまるで『独裁者』であるかのように振る舞っているとの印象を抱かせる」と反論する。


 米山氏の投稿が注目されたのは最初ではない。

 昨年3月、学校法人「森友学園」問題を国会で追及する野党の姿勢などをめぐり、維新前代表で橋下徹前大阪市長と批判の応酬を続けた。

 同4月には、作家の百田尚樹氏の北朝鮮をめぐる投稿に「もはや危険人物」とツイート。同8月には、医師の高須克弥氏による特攻隊員に関する投稿に「反吐(へど)が出る」と批判した。

 相次ぐ著名人らとの論戦は9月の新潟県議会でも取り上げられ、県議が「投稿の自粛」と「県政への集中」を求めた。

 米山氏は「(知事の)社会的な影響力の大きさも踏まえながら、正しく受け止められるよう十分留意する」と答えたが、この翌月に松井氏にかみついたわけだ。

 提訴を受けて米山氏は18日、「政治に対する正当な論評だ。言論の自由をどう考えているのか」と報道陣に語った。

 著名人に次々と論戦を仕掛けるネット住民の狙いをどうみるか。

 ウェブメディア評論家の落合正和氏は「一般的に、有名人のツイッターにわざと過激な発言をして、炎上させて名前を売るような事例もみられる」と説明している。

http://www.zakzak.co.jp/smp/soc/news/180120/soc1801200006-s1.html?ownedref=articleindex_all_newsList01