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 「新宿駅まで最短ルートで」——。僕の声に合わせてフロントウインドーの広範囲に地図と経路案内が広がる。助手席の妻は、サイドウインドーに映るSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の画面に夢中だ。——こんな未来がすぐそこまで来ている。

 次世代の表示系HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)として、透明ディスプレーをウインドーに適用しようとする動きが活発になってきた。いち早く実現を目指すのがジャパンディスプレイ(以下、JDI)である。

 同社は透明に近い液晶画面を開発。課題だった光の透過率を約80%まで高めることで、ウインドーへの適用を射程に納めた。まずは2022年にサイドウインドーへの適用を目指し、2030年以降にはフロントウインドーへも適用を広げたい考えだ(図1、2)。

 透明ディスプレーは、表示オフの時には透明に、オンにするとパネル上に映像を表示できる。主に有機ELと液晶、2種類の方式ある。バックライトが不要な有機ELは透明パネルの実現に向いている。しかし、画素の開口率が低いことから、JDIの開発品の透過率は45%にとどまっていたという。

 一方、液晶は画素の開口率は有機ELよりも高いが、光透過の妨げになる偏光板やカラーフィルターが必要となる。現在量産中の液晶パネルの構造では、透過率はわずか10%以下。JDIは従来のバックライト構造に換えて、LEDの光を液晶セルの側面から入射する構造にした。LEDの光は液晶セルの中を全反射しながら進むため、液晶ディスプレーの見え方は透明に近くなる。このときの透過率が約80%となる

 JDIが開発した透明ディスプレーの厚さは1mm以下。クルマのウインドーに使う場合は、一般的な中間膜のように2枚のガラスで挟んで成形する。同社が公開した開発品の画面サイズは4インチ、画素数は300×360である。ウインドーの全面に使うためには大画面化が不可欠。「10インチまで拡大できれば、ウインドーとして使いやすくなる。透過率も90%まで高めたい」——。JDI執行役員で車載インダストリアルカンパニー社長の月崎義幸氏はさらなる技術改良へ意欲を見せた。

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