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1月30日 17時40分
月が地球の陰にすっぽりと隠れる「皆既月食」が、天気がよければ、31日、観測できるのを前に、国立天文台は、月食で月の色が赤黒く変化する様子を観察して楽しんでほしいと呼びかけています。
「皆既月食」は、太陽と地球、それに月が一直線に並び、月が地球の陰にすっぽりと隠れる現象で、31日は、天気がよければ日本では平成27年4月以来、およそ3年ぶりに観測できます。

今回は午後9時前から欠け始め、午後9時51分から午後11時8分まで1時間17分にわたって「皆既月食」となり、日本では月食の始まりから終わりまですべて見ることができるということです。

東京・三鷹市にある国立天文台では、観察を楽しんでもらうよう呼びかけています。

「皆既月食」の月は「赤銅色」と言われる赤黒い色になりますが、大気中のチリの量によって明るいオレンジ色から黒っぽい色まで変わるということで、国立天文台では、色に注目して観察してほしいと呼びかけています。

また、国立天文台のホームページでは、肉眼で観察した月の色を報告するコーナーを設けていて、各地から届いたデータを今後の研究などに役立てたいとしています。

国立天文台の縣秀彦准教授は「皆既月食を始まりから終わりまで見ることのできる、とても貴重な機会なので、あすはぜひ空を見上げて楽しんでほしい」と話しています。
月面の色は地球の大気の状態を知る貴重なデータ
国立天文台によりますと、今回の「皆既月食」は、月の欠け始めから終わりまでのすべてが空の高い位置で起きるため、観測しやすく、特に「月の色」が注目されています。

なぜ「月の色」が注目されるのでしょうか。「皆既月食」は、地球の大気を通過した太陽光が屈折して月面をかすかに照らしています。その際、太陽光の中でも波長の長い赤い光が大気を通過しやすいため、月面が赤っぽく見えるということです。

この赤っぽい色は、地球の大気中にあるチリの量によって変わり、チリの量が少ないと大気を通り抜ける光の量が多くなって明るいオレンジ色になります。一方、チリの量が多くなると光の量が減るため黒っぽく見えるということです。

27年前、フィリピンのルソン島にあるピナツボ山の大噴火のあとには、大気の火山灰の影響で大気を通り抜ける光の量が減り、「皆既月食」の月面の色がほぼ黒くなったということです。

月面の色は地球の大気の状態を知るために貴重なデータとなり、今回、日本から見える「皆既月食」の色がどのような色になるのか、専門家から注目を集めています。