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だが中村さんがある日、まめ蔵を普段と違う檻に入れた時のこと。まめ蔵はいつも一定の距離感を保っているのにもかかわらず、中村さんの後をついてくるようになった。数日間、そんな状態は続いた。

ここで我慢を覚えれば、立ち直るきっかけをつかめるはず――。中村さんはそう考え、まめ蔵にエサを出さないことにしたが、それでも「待て」「伏せ」の指示に従い続ける。まめ蔵が殻を破った瞬間だった。中村さんは「褒美」としてエサを与える。

その後、成長したまめ蔵と面会した飼い主の目には涙が...。まめ蔵は2018年1月21日、訓練所を卒業。番組の最後には、まめ蔵が中村さんの元へ駆け寄り抱きかかえられる場面も流れ、ツイッターやインターネット上では

“「中村さんとまめ蔵の話、物語にはないリアルな感動があった 自分の好きな犬に対してあれだけ厳しくできるのは本当の愛があってこそだと思う」
「最後まめ蔵が自ら中村さんの方へ抱きついてて泣きそうになった」
「ストの方、まだ体が強張り気味のまめ蔵を抱きしめながら、ありがとうと囁いたシーンに涙が止まらなかった」との声が続出した。

■中村さん「本当は、私みたいな存在がいてはいけない」

一方で、中村さんのしつけは時として「鞭打ち式体罰」「暴力を振るう訓練士」と批判にさらされる。実際、番組放送後のツイッターには

“「訓練士、豆ぞうをグーで頭殴った。こんな躾ありえない」
「言っていいですか?棒で殴って距離が縮まるわけないじゃん。バカなんじゃないの、このひと」などの声が上がっていた。

だが中村さんがそのような声にひるむことはない。自身のフェイスブックでは放送後、「私が戦う相手がおわかりいただけたでしょうか?」と投稿。その上で、

“「そうです...『世論』と『世論に負けそうになる自分』との戦いです。きっとこれは死ぬまで続くのではないかと思っています。それでも戦い続けます。後に続く者達と行き場を失った咬み犬がいる限り」とつづった。

中村さんは1月30日のJ-CASTニュースの取材に、

“「体罰を使うことを否定するのが今の世論。ですが、主流のトレーナーがそうした声に流され、さじを投げた結果、治るものも治らなくなっている」と話す。その上で、

“「犬は平等じゃない。理屈の違う子もいる。トレーナーや獣医師、繁殖者らが本来、手をかけてやるべきなのだが、そうしたシステムが確立しておらず、手遅れになってしまっている。本当は、私みたいな存在がいてはいけない」と強調した。

テレビ局の密着取材を受けるのは、これが初めて。放送後の反響については、「(しつけへの)賛同者の方が多かった」と感じている。応援のメールも3〜40件、電話も5、6件届いたが、「虐待だ」と批判するものは1件だったという。

おわり