「新たなシノギ」組織的に詐欺か 捜査幹部「徹底的につぶす」    

11月7日、東京都港区赤坂にある住吉会の本部に、組対4課の捜査員ら数十人が険しい表情で入っていった。容疑は詐欺。他にも2次団体の「幸平一家」、
3次団体の「義勇会」などにも捜索に入っており、暴力団が組織的に詐欺事件に関与したと組対4課がみていることを物語る。
捜査関係者によると、三戸容疑者の所属する義勇会は、住吉会の有力団体である幸平一家のなかでも資金源獲得活動に強いことで知られる組織。
三戸容疑者はそのなかでも嗅覚が鋭く、療養費や診療報酬が暴力団の新たなシノギ(経済活動)とみて組織的な詐欺に乗り出したとみられる。
三戸容疑者らの逮捕容疑は、平成23年8月〜25年6月、東京都杉並区の「杉並すこやか接骨院」で、施術を受けたなどと偽り、
国民健康保険を運営する新宿区などから療養費計約45万円をだまし取ったというもの。
「これは暴力団による新たな資金源。徹底的に摘発して、つぶす」。捜査幹部は強調する。

治療したフリで架空請求 接骨院、歯科医院、クリニック巻き込む 不正書類も分担して作成

手口は単純といえば、単純だ。三戸容疑者らは接骨院や歯科医院、クリニックなどの各医療機関と結託。報酬などを見返りに患者役の協力者を確保し、
協力者の紹介を受けた各医療機関は、協力者が治療や施術を受けたと偽って診療報酬や療養費を架空請求する。架空請求分が三戸容疑者らの懐に入るという流れだ。
ただ、過去の架空請求事件とは決定的に違ったのは、複数の医療機関と結託し、患者も数百人以上を確保するなどの徹底ぶりだ。
そもそも逮捕容疑の舞台となった杉並区の「杉並すこやか接骨院」を実質的に開院したのは三戸容疑者自身。
さらに同容疑で逮捕されたコンサルタント会社経営の早川和男容疑者(38)が社員らに開院の申請書類、
療養費の不正請求書類などを分担して作成させ、他の複数の接骨院で請求させていた。
架空請求に必要な患者役の勧誘も、配下の組員らが分担して担当。ねずみ講式に、勧誘された患者役がさらに別の患者役を集めるなどして、数百人が詐欺に加担することになった。 
http://www.sankei.com/smp/premium/news/151123/prm1511230005-s.html