下町ボブスレー推進委員会・細貝淳一(2) 結婚のため1000万円ためた不良
http://www.sankei.com/smp/sports/news/160413/spo1604130002-s1.html


 新参者だからかな。転校生ということでいじめにあったし、父親参観も「父親が来ない」とか、いろいろと言われて差別された。
いつも独りぼっちだったし、嫌な思いをするうちに反発精神が芽生えて、だんだん不良になった。

 髪の毛はパンチパーマ、制服に虎の刺繍(ししゅう)を入れ、ズボンはだぶだぶ。たまに学校へ来ても余裕で遅刻し、昼食だけ食べて帰る。
人を傷つけることはあまり好きじゃなかったけど、ガン飛ばされると、メンツがあるから、そんなに強くないのに「なんだこの野郎」って言ってけんかを買っていた。
今思えば、ばかな考えだけど、当時は格好いいと思っていたのかもしれない。

 ただね、カツアゲしたりはしなかった。先輩から、お前が後輩にああやれ、こうやれって言われたことは極力断った。言うこと聞かないからよく先輩にぶっ飛ばされた。
「絶対殺されるぞ」って警告されたけど、私は「先輩は怖いけれど、後輩に同じことはできない」って話したときに、アドバイスしてくれた先輩がいた。その先輩、いろいろとあって死んじゃって。
「お前、こうなるなよ」と別の先輩に言われたとき、「絶対になりません」って誓った。

 〈けんかに明け暮れた日々を過ごす一方、中学校時代には生徒会長に立候補したこともある。中学生のころに出会った現在の妻にアプローチしようと、あえて目立つ行動をとった〉

 妻とは中学の時に出会って、そんなにアプローチしていないけど、1回決めるとそこに向かう性格で、出会った瞬間に結婚意識が出てくるわけ。だけど、おれが不良だから
真面目な女の子だった妻には最初、交際を断られ続けた。でも、あきらめずに告白したら中3のときに、付き合うことになった。

 とはいえ、妻の両親は「世界の誰と付き合ってもいいけど、あの子だけはダメ」と交際に反対していた。見返さなきゃいけないと思って、20歳までに1千万円ためようって決めた。
定時制高校に通いながら、寝る間も惜しんでペンキ屋、大工の見習い、解体業など何十ものアルバイトをやった。どの現場も不良が多いからけんかして、すぐ辞めたりもしたけれどね。

 〈目標通り1千万円をためて、22歳の時に彼女の両親に結婚のあいさつに行った〉

 預金通帳を妻の両親に見せ、「お嬢さまと結婚しようとためました」とあいさつした。通帳を見た両親は最後、「しようがないだろう」という感じで結婚を許してくれた。
そのころは既に、金属材料販売会社の正社員として働いていたが、妻の両親に30歳までにビルくらい建てるって約束したから、いつか独立して会社を起こそうと意気込んでいた。