2018.2.9 14:21
 【江陵=時吉達也】9日に開幕した平昌五輪で、非公式の「裏ボランティア」が各競技場で業務を開始した。不人気種目への観客動員対策で、五輪組織委や近隣自治体は、ボランティアスタッフや近隣住民に無料チケットを配布。大会の“盛況ぶり”を演出するのに一役買っている。


 開幕に先立ち、8日に予選が始まった新種目のカーリング混合ダブルス。ほとんどの席が埋まった江陵の競技場で、青や黄色のニット帽に韓国旗をとりつけたカチューシャを重ねた一団が目を引いた。

 「私たちは『ボランティア』なのよ」。江陵市内に住む主婦(64)は首をすくめた。市の斡旋(あっせん)を受け、地元の住民団体約30人で競技場を訪れたという。「今日みたいな人気の少ない会場に来て、来場者が多ければ席を離れることになっているの」

 カーリングの現地観戦は初めてといい、「雰囲気を感じるだけでも楽しい」と笑顔を見せる一方、「本当はフィギュアが見たいけど、無理ね。ハニュー(羽生結弦)も好きよ」と嘆いていた。

 平昌五輪組織委によると、開幕までの観戦チケットの販売目標達成率は、5日現在で77.3%に達した。昨年11月の段階で30%台と低迷していたことから、自治体や大企業に大量購入を要請し、数字をかさ上げ。低所得者層や顧客に配布される計画だが、実際に会場に訪れるかどうかは不明で、入場者の低迷が懸念されていた。

 会場には、普段は大会運営のボランティアスタッフとして勤務する大学生らの姿も。男子学生(23)は「組織委から無料チケットをもらって来場した」と明かした。

 地元紙の江原道民日報は9日、8日の会場の様子について「低調な観客入りが憂慮されたが、大部分の席が埋まりほっとした」とする組織委関係者の声を紹介。「大会成功の合図だ」と評価した。

http://www.sankei.com/smp/world/news/180209/wor1802090026-s1.html