【フランクフルトショー 2017】
メルセデス・ベンツ 燃料電池車「GLC F-CELL」の開発担当者
クリスチャン・モアディーク氏に聞く2017年9月26日
https://car.watch.impress.co.jp/docs/event_repo/2017frankfurt/1082651.html

ダイムラーは、世界で初めて「燃料電池システム」と「プラグインハイブリッドシステム」を組み合わせた燃料電池車「GLC F-CELL」を販売します
搭載しているリチウムイオンバッテリーの容量は9.0kWhで、これだけで49km(NEDC値)走行することができます
この50km分のEV走行によって、現時点で水素充填インフラ(≒水素ステーション)の数が少ないドイツ国内でも
電気を継ぎ足すことでGLC F-CELLの実用性を向上させています

GLC F-CELLのシステム出力は200PSで、搭載する2本の水素タンクに合計4.4kgの水素(70MPa)を充填することができます
タンクはリアシート部分と、通常のモデルではプロペラシャフトが通っているフロアトンネルにそれぞれ配置しています

ベースモデルである「GLC」、PHV(プラグインハイブリッド車)である「GLC350e」との、唯一の違いは、
(リアに燃料電池を搭載しているため)ラゲッジルームの床面が5cmほどかさ上げされている点ですが
実用性に大きな変化はないと考えています。

ダイムラーは「H2 Mobility」というジョイントベンチャーに参画しており
そこでは今後、ドイツ国内に400カ所以上の水素ステーションを建設しようと計画しています
このジョイントベンチャーにはシェルやトタルなどの石油関連企業も参画しており
トヨタ、ホンダ、ヒュンダイ、フォルクスワーゲンもアソシエーテッドパートナーとして登録されています

ドイツ連邦政府は、2007年から水素インフラに対するサポートを行なっており
いずれは乗用車だけでなく商用車も燃料電池化を進めるべきであると考えています
400カ所におよぶ水素ステーションの完成目標は2023年に定めていますが
2019年3月ごろまでに最低でも100カ所は建設する予定です

電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)は、いずれも電動駆動であることから、
車両を動かす際の効率はほぼ同じであり、モーターを動かす電力をどこで発生させるのか、という点が相違点です

技術革新が進むにつれて、EVが1回の充電で走行可能な距離が延びていくことが予想されますが
現時点での比較でもすでに重量あたりの出力はFCVが優れており
さらに外気温に依存しないことから
実用性という意味でのアドバンテージは(FCVのほうが)大きいのではないかと考えています