「Bond our hearts 〜ラトビアからのバトン〜」 160分 (2019年 アメリカ)

南国ジャマイカのボブスレー女子4人乗りチームが、韓国の平昌で2018年に行われた冬季オリンピックに初出場した
実話を基に制作された作品。フィクションのエピソードを加えており、登場人物は全て架空である。

映画の音楽は随所にレゲエが用いられ、カルガリーの雪景色に南国の陽気なリズムという相反するイメージを融合させている。
本職の競技で挫折を味わったジャマイカチームが苦難と対峙しながら友情を深め、オリンピックで活躍する姿を、コミカルでありながらも
感動的に描いている。

あらすじ
あのクール・ランニングの栄光から二十年が経ち、ジャマイカ・ボブスレーチームはかつてない資金難に直面していた。
高性能のソリを手に入らない悪循環から、チームの成績は下降線を辿り、このままでは目指していた平昌五輪は絶望的と言われていた。
そんな中、手を差し伸べてくれたのが日本のボブスレーメーカーだった。しかし、そのメーカーはいつまで経っても製品を完成できない、
営業プロモーションに力を注ぐ、いわくつきの商業路線のスポンサーであった。
一部から「ジャマイカの知名度を利用しようとして近づいてきたのでは?」との懸念の声も上がったが、藁にもすがりたい協会は
好条件に飛びついて契約をした。しかし噂を聞いた選手とマネージャーが不安視した通り、数か月が経過しても一向にチームのパフォーマンスは
上がってこなかった。すでに平昌五輪出場を掛けた大事な予選が一年後に迫っており、選手達は要求通りに仕上げられないメーカーに苛立ちを募らせ、
ついに協会と激しく対立する。その最中に日本メーカーのソリを使った男子チームは敗退して、女子チームも空中分解寸前にまで追い込まれた。
そして最悪の事態に見舞われる・・・。なんと五輪の突破が掛かる大会で、レギュレーション違反により現地にソリがやってこなかったのだ。
絶望して悲観にくれる女子ボブスレー選手達。むせび泣いていると、そこにライバルである数人のドイツ選手が声をかけてくれた。
「私たちのソリを使ってみないか?」それはラトビア製のソリだった。小さな町の職人の手によるソリだという話を聞いた。
手で触れて心のぬくもりを感じて、日本のソリとの明らかな違いが分かった。ぶっつけ本番の不安はあったが、そのラトビア製のソリを信じて乗ると、
信じられない好タイムを叩き出して念願の五輪出場を決めた。喜ぶジャマイカ選手達は祝福するドイツの選手に歩み寄り涙の抱擁をかわした。
だがその幸せの時間も長くは続かなかった。直前でソリを変更したチームに対して日本メーカーが激怒して「もし五輪で私たちのソリを使わなければ
莫大な違約金を課す」と圧力をかけてきたのである。
ラトビア製のソリに強い絆と愛着を感じた選手達は「私たちはラトビアのそりで出場したいの」と協会に詰め寄る。そして協会はついに折れて
「日本のメーカーのソリは使わない。あれは私たちのそりではない」と明言する。その瞬間、選手達とジャマイカ国民は大歓喜に沸く。
憤る日本メーカーはまだ諦めきれず、ジャマイカチームを執拗に追いかける。不安と期待が渦巻く中、平昌五輪が開催されようとしていた。

※この続きは翌年公開された「Last Dream 〜真の下町〜」に描かれている。