外務省が国連安全保障理事会による制裁決議の履行態勢を強化するため、4月にも省内に「国連制裁室(仮称)」を新設することが10日、分かった。過去に採択された制裁決議内容に関する解釈を含めた調査・研究を一元的に担うことで、制裁決議の対象国によって異なる担当課の解釈のばらつきを防ぎ、北朝鮮などに対する制裁の実効性を高める。国連や他国政府との間で解釈がばらつく問題を解消する狙いもある。

 外務省は国連制裁室の新設について平成30年度の機構・定員要求に盛り込んでおり、4月1日の発足を目指している。

 同省によると、国連安保理が採択した制裁決議は14本あり、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)などを対象としたものを除けば、対象国は14カ国に上る。省内では「貨物検査特別措置法」に関連する制裁の履行は安全保障政策課が担当しているが、それ以外は制裁決議の対象国別に担当課が異なる。

 例えば、対象国が北朝鮮の場合は北東アジア課、イランの場合は中東2課と「縦割り」になっている。近年は制裁決議の回数が増えており、担当課によって決議内容の解釈がばらつくことを防ぐためにも、調査・研究の専従組織が必要と判断した。

 また、安保理制裁決議をめぐっては、これまでも政府と国連との間で解釈に齟齬が生じるケースがあった。今月5日には政府が「制裁違反ではない」としていた日用雑貨店の北朝鮮への進出について、安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが決議に抵触する恐れがあるとして調査を実施したことが判明した。

 北朝鮮での「駐在員事務所、子会社、口座」開設を禁止した28年11月の安保理制裁決議でも、開設禁止対象の業界を明示していないにもかかわらず、政府は「金融機関」に限定した。同年3月の決議が対象業界を金融機関としていたためだが、国連外交筋は「解釈が消極的過ぎる」と指摘する。このため、国連制裁室では、国連や他国政府の解釈も調査・研究し、国際社会と足並みをそろえて北朝鮮などに対する圧力強化を実現したい考えだ。

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