さらに、左利きの人に追い打ちをかけるようなデータもある。「右利きに比べて、左利きは寿命が9歳短い」というのだ。

 おおたわ氏はこのデータについて「権威ある学会誌に載った論文。社会が右利き用に出来ているからという仮説だ。例えば駐車場の券を取るときなど、左利きの方が偶発的な事故に遭う可能性が高いということや、
日々のストレスがボディブローのように効いてきて、色々な病気になる可能性が少しずつ高くなる。それらを総合すると、おそらく寿命が9年くらい短くなるのではないかということ」と説明した。

 また、かつては矯正すべきという考え方もあり、40歳以上の男性の約80%、19歳未満でも約30%の人が、右利きに改めるよう指導された経験があるようだ。
"左利きトリビア"を集めた『左利きあるある 右利きないない』の著者、フリーライターの神田桂一氏も、矯正された経験を持つという。
神田氏は「僕は書くのだけ右にされたが、結果的に両利きみたいになって良かった。受験勉強の時とか右で書きながら左手で消していた。結構便利だった」と肯定的だ。
おおたわ氏は「もともと持って生まれた優位半球があるとしたら、それに反してわざわざ変えるというのは生理的に違う気がする」と指摘した。

■左利きに優しいグッズ、次々と
 「製造業のみなさん、左利きの商品をもっと作ってください」「色々な会社が左利き用のものを増やしたら良いなと思う」
「いろいろ使えるものを両利きOKにしてほしい」と、街の左利きたちからは真剣な願いも聞かれた。誰もが暮らしやすい未来のため、右利き社会をどう変えていけば良いのだろうか。

 そんな声に応えるため、左利きに優しいグッズも徐々に増えてきている。例えば、数字が見えなくて困っていたトランプは、全ての角に数字とマークが描かれた両利き用が。
そして、ノートに字を書いていくと手が汚れるという問題の解消のために、左手でこすってもインクがすぐに乾き、手につかない速乾性のボールペン「サラサドライ」が発売されている。
さらにファミリーレストランの「ガスト」では、先端が尖っていないお玉を導入した。

 おおたわ氏も「ユニバーサルデザインは大いにビジネスチャンス」と話す。
そして、「私は矯正する必要はまったくないと思っている。そして左利きであることを不満に思って暮らしてしまうと、それだけストレスが悪さをしてしまう。
"別にこんなのへっちゃらだよ"くらいの気持ちで、開き直ることが大事」と語っていた。

 この週末、右利きの人は左利きの人が暮らしやすい社会について思いを寄せてみてはいかがだろうか。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)