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男性は思い当たる節があった。業者からは契約前、「預金を多く装うからネット銀で口座をつくって」と持ちかけられた。「不正はダメ」と断って大手銀の通帳を渡したが、その写しが改ざんされたことになる。
 問題のシェアハウス投資はスマートデイズ(東京)など数社の不動産業者が手がけ、会社員らへの売り込みは数十社以上の仲介業者が担った。業者は割高な物件売買などで高収益を得ていた。一部の仲介業者は取材に不正の存在を認めたが、「我々の手数料は数%。進んで不正をするはずがない」として、どこで誰の手で不正が行われたのかは明らかにしていない。
 朝日新聞が取材した十数人のシェアハウス所有者のうち、半数以上で資料の不正が確認された。多くは融資資料を業者に渡して手続きを任せており、銀行とはきちんと確認をしていないケースが多い。
 明らかになった不正は、いずれも会社員の資金に余裕があるように見せかけ、融資審査が通りやすくなる内容だ。その手口は大きく二つに分かれる。
 一つは預金額の水増しだ。通帳や口座明細、証券会社の資産目録などのコピーが書き換えられていた。預金が10倍超にされた例もあった。