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2月13日 17時54分
買い物をした際に紙のレシートの代わりに、スマートフォンで内容を確認できる「電子レシート」の実証実験が13日から、東京・町田市内のスーパーなどで始まりました。

東京・町田市内のスーパーやドラッグストアなど27の店舗が参加した今回の実験は、電子レシートの実用化を目指し、経済産業省が始めました。専用のアプリをインストールすると、紙のレシートの代わりにスマートフォンで買い物の内容が確認できる「電子レシート」が利用できるようになります。

実験には東芝の子会社が開発したシステムが使われ、さまざまな店での買い物の内容をまとめて表示できるため、店ごとに違う紙のレシートに比べると、家計が管理しやすいといったメリットがあるとしています。

一方、企業の側は消費者の買い物のデータを一括して分析できるようになるため、商品開発やサービスの改善などにつなげたいという狙いもあります。

ただ、買い物の記録という個人情報の提供に対しては、消費者の抵抗感もあります。このため、今回の実験では利用者が買い物のデータを送信しないことや、住所の郵便番号の一部を隠すなどの選択肢も用意されています。

実験に参加したスーパーを訪れた30代の主婦は「さまざま店舗で使えるようになればとても便利だと思う」と話す一方、50代の女性は「財布の中を見られるようで少し気持ち悪い気もする。個人情報の管理は重要だと思う」と話していました。

経済産業省は今月末まで実験を続け、結果を踏まえて、電子レシートの規格づくりなどの検討を進めることにしています。

経産省の狙いは

経済産業省は電子レシートの普及によって、個人の消費行動というビッグデータを活用した新たな需要やビジネスにつなげたいという狙いがあります。

多くの商品について買った人の男女別や年代別のほか、曜日や時間帯による売れ行きの変化などのデータは大手コンビニチェーンをはじめ、多くの企業が活用しています。

ただ、こうしたデータは主に企業ごとに活用されているうえ、消費者への直接の利益は少ないのが現状です。こうした中、経済産業省は「電子レシート」が普及すると、消費者には家計の管理が簡単になるほか、ほかのアプリと組み合わせると例えば甘いものの買いすぎに注意を促すなど、健康管理にも役立てられるとしています。

また、企業側には膨大なデータを分析することで、革新的な商品の開発やサービスの提供が可能になるとしています。

しかし、どこで、いつ、何をいくらで買ったかということは重要な個人情報で、企業側に活用されることには抵抗感もあり、消費者の懸念をいかに解消するかが大きな課題です。

このため、今回の実験では利用者の情報について、「年齢」を何歳代といった「年代」にしたり、買い物した時間は省いて日付だけにしたりするなど、提供する個人情報を選べる機能も設けています。

経済産業省消費・流通政策課の林揚哲課長は「個人情報を適切に管理し、安心・安全な仕組みづくりを進め、見たことのないような新しいサービスにつなげたい」と話しています。

経済産業省は今回の実験結果を基に、多くの企業が参加できるように電子レシートの標準の規格を作って、ことしの夏をめどに公開する方針です。

しかし、顧客データは各企業にとっては極めて重要な資料だけに、多くの企業が共有するような仕組みを整備できるかどうかは大きな課題です。
(リンク先に続きあり)