自動車メーカースズキは20日から、1970年代に開発された水素エンジンの実験車両を、浜松市南区のスズキ歴史館で展示する。

 武蔵工業大(現・東京都市大)との共同研究で製作したものだという。

 70年代に石油危機や排ガス規制の強化から、環境にやさしい代替燃料として水素が注目を集めるようになった。日本で水素自動車を公道で初めて走らせたのは、当時武蔵工業大教授だった古浜庄一氏(故人)らといい、今回展示されるのは古浜研究室による3代目の水素自動車だ。


 名前は「武蔵3号」で、スズキの軽自動車「セルボ」をベースに開発した。後部座席の場所に液化水素を充填じゅうてんするタンクを搭載。そこからポンプでくみ上げて気化させ、エンジンのシリンダー内に噴射する構造となっている。

 79年に完成し、静岡県磐田市にあるスズキのテストコースで、最高速度時速118キロを記録し話題になったが、その後、新しい実験車両が次々と開発されていき、武蔵3号は大学で雨ざらしになっていた。2014年にスズキに寄贈され、板金塗装やパイプの再現などにより当時の姿を復元した。

 同研究室で学生リーダーとして開発に携わり、スズキOBでもある小林良行さん(61)は「展示された車を見て、ものづくりの熱意を感じ取ってほしい」と話す。

 車両はスズキ歴史館3階の「歴史コーナー」に展示される。見学は予約制。問い合わせは同館

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