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“専業主婦”は単なる扶養家族ではなく、家事・育児など家庭生活の中心となって、
夫が心置きなく勤労できる為の働きをしており、夫が所得を得る為に大きな貢献をしている。
『配偶者控除』は、“日本型福祉国家”を目指す『家庭基盤充実政策』の一環として、
こうした「家庭における妻の働き」を“尊重し”“評価”する立場から導入された。

「対価の支払われない家事」に従事している女性に税制面で配慮し、
税制上、「妻の役割」を“認めた”ものである。
事実上、「在宅で育児や介護」等を行っている専業主婦世帯を“支援する”役割を果たすと同時に、
「法律婚制度を保護」する機能をも有している。


専業主婦あるいは準専業主婦は、正規社員の女性に比べて働いていないのではない。
労働市場を介さないため統計上、GDPに換算されないが、
多様な家事労働を通じて「社会の基本単位」である“家庭の機能”を守り、
女性として“重要”な役割を果たしている。

米国の人材情報提供会社の試算では、専業主婦は年収11万8905ドル(約1200万円)に値するともいわれている。
これを外部化し産業化しても、実際の母親や妻と同じように子供や家族に愛情が注がれるわけはなく、
総じて弊害の方が大きいことは明らかだ。


『配偶者控除廃止論』の背景には「女性労働の中立性」を大義名分に“価値中立”を装いつつ、
その実、「家庭の価値」を“否定し”「専業主婦の消滅」と、
「結婚・家族制度の解体」をもくろむ過激な“フェミニズム思想”の影響がある。

『男女共同参画』に謳われている“中立的”という用語は、専業主婦をなくし、
すべての女性を男性と同様の“賃労働者”にして、「結婚・家庭制度の破壊」をもくろむ思想、
および政策意図を、実現するための巧妙に仕組まれた“政治的用語”と言ってよい。

そこで提案されている内容は、個人の選択に“中立的”であるべきとして、
あたかも「価値中立」を装っているが、その実態は「家庭の価値」を“否定”し、
「個人」単位社会を志向して、「専業主婦の撲滅」と「結婚・家族制度の形骸化」、
「家庭機能の弱体化」を狙った“家庭破壊政策”と言ってよいのである。


配偶者控除の廃止は、専業主婦あるいは準専業主婦世帯への“増税”を意味しており、
増税によって“無理やり”専業主婦の就労を拡大しようとするものである。
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しかも、配偶者控除の廃止は0歳児からの保育を促し、
「母子関係の希薄化」と「子供の健全な育成を阻害」する危険性が高い。
それだけでなく、保育園や高齢者の介護施設を増やすことになるため、
「財政支出」が“増え”、「財政健全化」にも“マイナス”になる。
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何より、子どもが幼いため、妻の家事・育児時間の市場価値が比較的高い
家事労働に「比較優位」を持ち、労働効率のまだ低い女性までを、
「本人の意向を無視」して労働市場への進出を促すことは、
家庭と社会をトータルで見た場合、実質的1人当たりの「労働生産性を低下」させるだけでなく、
「厚生レベルを低下」させることにもなる。
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真の『女性の労働力活用』の意味は、「個人の特性を無視」して、
すべての女性を“無理やり”に「賃労働者」にすることでは決してない。
「妻や母としての女性の役割」も十分に尊重し、
「主婦業に比較優位」を持つ女性には、その希望が叶うように支援するべきである。
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所得税制を改革するなら、“家庭基盤充実”に資する『世帯課税制』の導入を検討すべきである。
『世帯課税制』は家族の絆強化だけでなく、少子化対策にも有効である。
【専業主婦・子育て世帯を狙い撃つ“配偶者控除見直し論”の背景と問題点】http://ippjapan.org/archives/652