北海道内の河川をふるさととするサケの幼魚が2010年以降、海水温の上昇で知床半島沿岸からオホーツク海へと北上できない環境にあることを、サケ研究の世界的権威である帰山かえりやま雅秀・北海道大学特任教授(魚類生態学)が突き止めた。

 道内のサケ漁が不振に陥っている大きな要因とも考えられるという。

 帰山教授によると、道内生まれのサケは、春先に海に出た後、6月まで各地の沿岸で生息し、いったん知床沖に集結する。その後、オホーツク海を北方へ移動し、カムチャツカ半島とサハリンの間の海域に秋までとどまって成長し、11月には北西の北太平洋へ回遊。越冬して、翌年6月にはベーリング海で育つという。

 帰山教授は、気象庁のデータベースなどを基に、海水温の上昇が日本系統のサケ幼魚の分布と回遊ルートに与える影響について調査した。その結果、幼魚がオホーツク海を北上することの多い7月頃の最適水温(8〜12度)の水域は、00年代までは知床半島に接続していた。ところが、10年代に入ると、知床から270キロほど北側に遠ざかる傾向が強まっていた。

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