愛知県特産の「八丁味噌みそ」を造る老舗2社の製品が、農林水産省の地理的表示(GI)保護制度の登録から漏れた。

 制度は模倣品の排除が目的だけに、2社は「江戸時代以来の本物を締め出すとは」と反発。近く、農水省に不服を申し立てる。

 八丁味噌は、岡崎城から西へ8丁(約870メートル)の八丁村(現在の愛知県岡崎市八帖はっちょう町)で造られたのが由来。いまもこの地にある2社は「まるや八丁味噌」と「カクキュー」ブランドの「八丁味噌」で、年間計約1000トンを生産し、うち1割を欧州に輸出している。

 2社は2015年6月1日にGI申請したが、17年12月に登録されたのは名古屋市にあり、2社の後に申請した「愛知県味噌溜たまり醤油しょうゆ工業協同組合」の製品。日本と欧州連合(EU)は経済連携協定(EPA)を妥結しており、八丁味噌を含めた日本側のGI品目が保護される。このため、2社はEPA発効後、EU加盟国で八丁味噌を名乗れなくなる。また、国内でも、GIマークを付けられない。

 組合の加盟社は年間約600トンを生産している。岡崎の2社が製品を木おけで2年以上熟成し、重しや、その置き方まで決めているのに対し、組合の製法は「タンクでひと夏以上」などと異なっている。

 農水省は八丁味噌のオリジナルを岡崎の2社とする一方、「県内全域で長く生産されてきた」として、両者の歩み寄りを求めていた。2社の代表者らは「伝統の危機」と農水省の対応を批判。一方、組合の担当者は「消費者のため、できるだけ低コストで味わいを出している」と説明している。

2018年03月14日 09時24分
YOMIURI ONLINE
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