2018年の春季労使交渉は14日、自動車や電機などの主要企業がベースアップ(ベア)に相当する賃金改善や年間一時金の一斉回答を始めた。日産自動車や旭化成など主要企業は5年連続でベアを実施し、上げ幅も前年を上回る企業が相次いだ。ただ、政府が求める「3%賃上げ」には月給ベースでは届かない企業が目立つ。

賃上げを巡っては政府がデフレ脱却に向けて産業界に対して「3%の賃上げ」を要請している。企業業績が拡大する中で、経済界も賃上げで従業員に報いる動きを強めた。「官製春闘」も5年目。17年春の労使交渉ではベアが前年実績を割り込む決着が多かったが、18年は前年超えの回答が増えている。

 日産自動車は労働組合が要求した賃金改善3000円に対し、満額回答した。満額回答は3000円のベアを実施した16年以来、2年ぶりだ。定期昇給分などを合わせた組合員平均の月例賃上げ率は2.4%となる。

 トヨタ自動車はベアに相当する賃金改善分について月1300円超で回答した。具体的なベア実施額は明らかにしていない。前年実績の1300円を上回る。全組合員平均の月例の賃金引き上げ率は3.3%となるが、手当なども含む。

 旭化成は賃金改善分について月2400円で回答した。ベア実施は5年連続。前年実績の1480円を上回った。新日鉄住金など鉄鋼大手4社は18年度、19年度の2年間合計で3000円の賃金改善を回答した。

 電機大手では、日立製作所は前年より500円多い1500円のベアで妥結した。東芝も1500円のベアを実施することで妥結し、月給ベースの賃上げ率は2.5%となる。

 月給ベースでは、賃上げ率が3%に届かない企業が目立つ。ただ、一時金などを加えた年収ベースでは、3%の賃上げとなる企業もある。6年ぶりに電機連合の統一闘争に復帰したシャープの労使は、年収ベースで組合員平均3%の賃上げを回答した。

 日立造船は前年実績より500円上回る月1500円の賃金改善を労働組合に回答した。これにはベアのほか、手当が含まれる。

 クボタが13日までに、組合員平均で月額1000円のベアを実施すると労働組合に回答した。同社として初めて定年退職後の再雇用社員も対象にする。

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