米軍三沢基地所属のF16戦闘機1機が燃料タンク2個を青森県東北町の小川原湖に投棄し、20日で1カ月。地元や関係者の間では、米軍の事故後の対応を疑問視する声が上がる。米軍は基地に回収のための資機材がないとの理由で迅速な作業に取り掛かれず、災害派遣要請を受けた海上自衛隊が重量換算で全体の94%に当たるタンクの破片を撤去。米軍が引き揚げた分はわずか1%にとどまった。

 「湖にタンクを落とすのを想定内としているのに、撤去するための備えがないとは納得できない」。東北町に住む60代の自営業の男性は首をかしげる。

 基地には米空軍と米海軍が駐留しているが、今回は三沢だけで対応できず、在日米軍司令部(東京)を介し横須賀(神奈川)、佐世保(長崎)両基地の米海軍のダイバーを派遣してもらった。とはいえ、到着時には既に、海自大湊地方隊が大半を回収済み。3月10〜13日の4日間、潜水での作業を行ったが、遅きに失した感は否めなかった。

 2月の問題発生を機に全面禁漁となったまま、シラウオとワカサギの産卵期による休漁期間(3月16日〜4月20日)を迎えた漁師からも不満の声が相次ぐ。

 60代の男性漁師は「年に一番の稼ぎ時を逸した。どうしてくれるのか」と憤慨。「自分がやったことなのに、米軍からは(漁業者に直接)何の説明もない。補償の話も聞こえてこないし、無責任だ」と続けた。

 F16は1992年4月にも小川原湖へタンクを投棄したほか、海への投棄もたびたび起こしている。

 基地を抱える三沢市の市議会基地対策特別委でも、米軍の対応を問題視する意見が出た。市側は「米軍が、どういう事故が起こったときにどこまで対応できるか確認したい」と回答。現在、三沢防衛事務所を通じて問い合わせ中という。

 東北町の自営業の男性は「(今回の問題は)今後、同様の事態が起きた場合の試金石になった。より迅速に対応できるよう、国や米軍は考えてほしい」と訴える。

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