日本経済新聞 2018/3/22 10:08

仮想通貨の個人アカウントを狙った不正アクセス事件が2017年に149件あったことが22日、警察庁のまとめで分かった。不正送金の被害総額は約6億6240万円相当だった。
仮想通貨の不正送金被害に関する年間統計が発表されたのは初めて。

不正アクセス被害が確認されたのは仮想通貨交換業者など16社と、ネット上の口座「ウォレット」の運営会社3社。
利用者が取引のために開設したウォレットに他人がアクセスし、別口座へ移し替える手口が多かった。

流出した仮想通貨はビットコインが85件と最も多く、リップルが55件、イーサリアムが13件など。警視庁などが不正アクセス禁止法違反容疑などで捜査を進めている。

ビットコインの価格は17年5月にそれまでの最高を更新する1400ドルとなり、12月には2万ドルに迫る最高値を記録した。不正送金は4月の7件から5月に19件、6月に41件などと急増した。

認知件数の8割以上にあたる122件は、ログイン時にIDとパスワード以外の要素も取り入れた「2要素認証」を利用していなかった。

今回の統計には18年1月、コインチェック(東京・渋谷)から約580億円分のNEM(ネム)が流出した事件は含まれていない。

一方、金融機関のネットバンキングの不正送金被害は425件で、ピークだった14年の4分の1以下になった。
被害額も約10億8100万円と、30億円を超えた15年の3分の1近くに減少。ワンタイムパスワードなどの対策の効果とみられる。

ネットバンキングで仮想通貨のアカウントを不正送金先にする手口も確認されており、犯行グループがセキュリティーの甘い仮想通貨に狙いを切り替えている可能性もあるとみられる。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28412220S8A320C1MM0000/?nf=1