仮想通貨交換業者コインチェック(東京)から仮想通貨NEM(ネム)が大量に不正流出した問題で、22日夕までに、不正流出したNEMのほぼ全量がハッカーから第三者に渡り、別の仮想通貨などに換金された可能性があることがわかった。NEMを流出させたハッカーが自ら開設した交換サイトを通じ、ビットコインなど別の仮想通貨を手に入れたとみられる。

 コインチェックにあった顧客資産のNEMは1月下旬、サイバー攻撃で外部に流出。その後、発信元が追跡できない闇サイト(ダークウェブ)上に、割安でビットコインなど別の仮想通貨との交換を呼びかけるサイトが現れた。交換に応じた者が相次ぎ、NEMの残量は約1カ月半後の3月22日午後6時45分ごろにゼロになった。NEMはハッカーが外部に流出させた初期の口座にごく少額が残されているのみだ。

 朝日新聞の分析では、少なくとも1万3千を超える第三者の口座に送金され、これらのNEMは別の仮想通貨交換所で別の通貨に交換するなど「資金洗浄」されたとみられる。交換所に持ち込まれると取引履歴で追うことができず、流出NEMを取り戻すのは不可能に近い。

 流出したNEMをめぐっては、NEMの普及を推進する「NEM財団」(シンガポール)が追跡のため入金された口座に印をつけたが、今月20日までにやめたと表明した。関係者は朝日新聞の取材に「多くが交換所に送金され追跡の意味がなくなった。交換所の良識ある対応に期待するしかない」と語った。(編集委員・須藤龍也)

朝日新聞社
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