新潟水俣病は阿賀野川流域にあった昭和電工の工場の排水に含まれていた有機水銀が原因で起きた公害病です。
国の基準で水俣病と認められなかった住民は、国や新潟県、昭和電工に対して賠償を求める訴えを起こし、1審の新潟地方裁判所は10人のうち7人を水俣病と認め、昭和電工に賠償を命じましたが国や県の責任は認めませんでした。
2審では水俣病の認定をめぐる別の裁判で勝訴した住民が訴えを取り下げ、1審で敗訴した3人のうち2人が裁判を続けていました。
23日の判決で、東京高等裁判所の齊木敏文裁判長は、水銀に汚染された魚介類を食べた量や水俣病の主な症状の感覚障害の程度などをもとに水俣病の判断をすべきだという枠組みを示しました。
そのうえで、2人は汚染された魚介類を多く食べていたとは認められず、感覚障害の症状や時期から見て水銀との因果関係には疑いが残るなどとして、水俣病の患者とは認められないと判断し、訴えを退けました。
■弁護団「極めて不当」
判決のあと、原告の弁護団は会見を開き、高島章弁護士は「行政追従の判決で極めて不当だ」と訴えました。
水俣病をめぐる裁判では、新潟市の住民が認定を求めた行政訴訟で、去年、東京高裁の別の裁判長が全員を水俣病と認める判決を言い渡し、確定していますが、高島弁護士は、「行政訴訟の判決を踏襲するのではと期待していたが、見事に裏切られた形だ」と批判しました。
弁護団は、最高裁判所に上告するかどうかについては、原告と相談して検討するとしています。
■環境省「国の主張認められた」
判決について環境省は「判決の詳細は把握していないが、結論として国の主張が認められたものと承知している」というコメントを出しました。
3月23日 20時21分
NHK NEWS WEB
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