2016年度に千葉県内で確認された生活保護費の不正受給件数が1840件に上り、10年前の約6・5倍となったことが、県と千葉市のまとめでわかった。

県と千葉市によると、不正受給の件数は06年度、281件だったが、08年のリーマン・ショック後、受給者が増えるにつれて急増。11年度には1000件を突破して1411件に上り、近年は1800件前後で推移している。不正受給の総額も06年度は約2億8325万円、11年度は約7億6926万円と増加。ピークは13年度の約9億5956万円だったが、最近も8億円台が続いている。

16年度の生活保護の受給世帯数は6万4686世帯で、06年度の3万4122世帯の約1・9倍。不正受給件数は、これを大幅に上回るペースで増えている。

生活保護制度は、給料や年金を得ている場合、減額される仕組みだ。しかし、収入があるのに申告しない事例が多く、県健康福祉指導課によると、近年は高齢者の不正受給が目立つようになったという。「年金が足りない」などの理由で生活保護費を受給するようになった高齢者が、雇用情勢の改善による人手不足の中、短時間働いて得た収入を申告しなかったケースが増えたと同課はみている。

自治体は不正受給分の全額返還を受給者に求めており、悪質な場合は刑事告訴することもできる。課税調査の徹底などで、以前より多く不正を突きとめられるようになっており、同課の担当者は「たとえ少額であっても、収入があればきちんと申告するよう受給者に説明していきたい」と話している。



YOMIURIONLINE 2018年3月25日 09時02分
http://sp.yomiuri.co.jp/national/20180325-OYT1T50026.html