https://www.gizmodo.jp/2018/03/usa-bans-petro.html

2018.03.26 12:45
ベネズエラ政府による奥の手・仮想通貨「ペトロ」、早速アメリカでは購入不可に
Image: Marcos Salgado/Shutterstock
マドゥロ大統領の下に事実上の独裁政権を確立したベネズエラには、アメリカを始め世界各国から経済制裁が課されています。それに加えて石油価格が崩壊したため、ベネズエラの経済は3年間連続で三桁の縮小中。

この経済破綻の危機に対してベネズエラ政府はなんと、原油埋蔵量を裏付けとした仮想通貨「ペトロ」を政府発行する、という奇策を始めます。仮想通貨のブームに乗っかった安易な経済政策として「ペトロは仮想でも通貨でもない」と多くのメディアが警鐘を鳴らしていました。

そんな中、CNBCのレポートによると、トランプ政権は「ベネズエラ政府による仮想通貨の取引を禁止する」という大統領令を発令しました。これによって2018年1月9日以降に発行されたものは、アメリカで購入すると違法になります。

Bloombergによるとベネズエラは仮想通貨のトークンの購入には米ドルやユーロしか受け付けない、として外国人投資家をメインの購入層としていました。しかし、今回の大統領令によって大部分の投資家(アメリカ人)が消えてしまったことになります。元々成功するとは思われてなかったペトロですが、立ち上がって(2018年2月20日)間も無く購入自体が禁止されてしまったわけです。これはベネズエラにとってはかなりの痛手でしょう。

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Image: ベネズエラ政府 via Wikimedia Commons
Caracas CapitalのマネージングディレクターであるRuss DallenさんはBloombergに次のように語っています。「ほとんどの暗号通貨は何か実在するもので価値を担保されていません。そのため暗号通貨を使った投機というのは、「大馬鹿理論(グレーターフール理論)」に基づいています。私が今これを100ドルで買うのは、将来もっと馬鹿な人が200ドルで買うからだ、という理論です。そのため、(仮想通貨の購入層から)アメリカが消えてしまうと、その通貨に対する興味、そしてポテンシャルが減ってしまいます」。

トランプ政権では突然の大統領令が出されることが多いですが、今回の決定は以前からその可能性が指摘されていました。1月には財務省が「ペトロを買うことは(経済制裁で禁止されている)ベネズエラ政府に対する信用取引の延長として解釈される」として投資家に対して警告を出しています。

しかしそんな中、ペトロは秘密裏にアメリカの経済制裁の力を弱めようとするロシアとベネズエラによる「ジョイント・ベンチャー」だった、という報道も賑わっております。果たしてここからどのように発展するのでしょうか……。