米英仏がシリアに軍を駐留させるロシアとの意図しない衝突を避けようと細心の注意を払ったことがうかがえる。ロシア軍の主要拠点の北西部ヘメイミーム空軍基地や西部タルトスの海軍基地などを攻撃から除外。ロシアが配備した最新鋭の地対空ミサイルシステム「S400」などによる反撃を避けるため、長射程ミサイルを主軸とした短時間の精密攻撃が採用された。

 ロシアはヘメイミームとタルトスの基地周辺に移動式防空システム「パンツィリS1」や、S400を配備。最新鋭戦闘機スホイ35や爆撃機スホイ24など巡航ミサイルの発射能力を持つ空軍力も展開する。ロシア国防省は、米英仏が今回発射した103発のミサイルのうち、71発をシリア軍が迎撃したと主張。英政府は作戦の「成功」を強調したが、実際の戦果は乏しい可能性もある。

 元米陸軍中将の米シンクタンク「戦争研究所」上級研究員ジェームズ・デュビック氏は「われわれが限定的で精密な攻撃と考えていても、ロシアなどの反撃を正当化する根拠を与えかねない」と米露衝突のリスクに懸念を示した。(共同)

https://www.sankei.com/smp/world/news/180414/wor1804140087-s1.html
ロシアの移動式防空システム「パンツィリS1」
https://www.sankei.com/images/news/180414/wor1804140087-p1.jpg
ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島のセバストポリに配備された地対空ミサイル「S400」=1月(タス=共同)
https://www.sankei.com/images/news/180414/wor1804140087-p2.jpg