軍事ジャーナル【4月9日号】シリア化学兵器は北朝鮮製 2017/04/09

米軍のシリア空爆について、問答形式にまとめてみた。
Q1:シリアは2013年10月に化学兵器の国際査察を受け入れ、2016年1月には化学兵器の廃棄が完了している。従って今般、シリアが化学兵器を使用したとすれば、どこから調達したのか?
A1:これはほぼ、北朝鮮からと断定して間違いない。2007年7月、シリアの軍事工場で化学兵器を搭載したスカッドミサイルの爆発事故があり、北朝鮮技術者3人を含む多数の死者が出た。
 同年9月にイスラエルはシリアの核兵器工場を空爆して破壊したが、後にこれは北朝鮮の支援で造られた物である事が判明した。
2013年8月にシリアは化学兵器を使用したが、これは旧ソ連製のロケット弾に詰められて撃ち込まれた。
 北朝鮮がシリアの旧ソ連製の兵器の修理改修を請け負っているのは当時から有名な事実で、当然、この時の化学兵器も北朝鮮製だったと見られる。
査察を受け、国際的に非難の的となったシリアに新たに化学兵器を売る国が現れるとは考えにくく、旧来の関係から北朝鮮が最有力候補となる。

Q2:北朝鮮製だったとして、果たして北朝鮮の狙いは何か?
A2:これは2013年の事例に鑑みれば明らかである。この年の4月、米韓連合軍は北朝鮮への先制攻撃戦略の検討を始めた。
だが、8月にシリアの化学兵器使用に注目が集まるや、米軍を中近東に張り付けざるを得なくなり、対北先制攻撃は断念された。
 つまり、今般もシリアに化学兵器を使用させ、米軍を中近東に張り付けさせ、対北先制攻撃を断念に追い込む狙いであろう。
柳の下の二匹目の泥鰌を狙った訳だ。

Q3:だが、北朝鮮の戦略に乗って化学兵器を使用したシリア軍は如何なる意図か?
A3:これは、トランプ政権がシリアのアサド退陣を求めなくなったタイミングでシリア軍が化学兵器を使用している事から、理由は明らかだ。
シリアの軍部は独裁者アサドの排除が望ましいと考え、米国のアサド承認を阻むためのクーデタであろう。
 軍部bェ独裁者排除に涛ョくのは珍しい試魔ナはない。
第2次世界大戦末期にドイツ国防軍はヒットラー暗殺を企て失敗に終わったのは有名な事実である。
無謀な独裁者は軍にとっても迷惑な存在なのである。

Q4:それでは、トランプ政権は北朝鮮の狙い通りにシリアを攻撃したことになるが?
A4:今回の米軍の攻撃は極めて限定的であり、大規模な米軍介入もアサド退陣要求もトランプ政権は表明していない。
決断が素早かったから、最小限の戦力投入で最大の効果を挙げた。
つまり米軍主力は依然として北朝鮮を睨んでおり、北朝鮮の戦略は失敗したと言えよう。