東京23区を中心に、全129系統がある都営バス。そのなかで乗客数トップ5系統はどこでしょうか。これらの系統は収入も多いですが、支出を差し引いた「黒字額」となると、明暗が分かれてきます。

■収入額が年間12億円の系統も

 東京23区内を中心に、全129系統ある都営バス。なかでも最も繁盛しているのは、どのような系統でしょうか。

都営バスでトップクラスの乗車人員を誇る「王40」系統
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 東京都交通局は2015年度、2016年度について、受託運行路線を除く127系統の収支を公開しています。それに基づき、2016年度の1日あたり乗車人員トップ5系統を挙げると、次のようになります。

●乗車人員トップ5
1位:「都07」錦糸町駅前〜亀戸駅通り〜東陽町駅〜門前仲町、1万9992人
2位:「王40」池袋駅東口〜王子駅前〜荒川土手〜西新井駅、1万9840人
3位:「都02」大塚駅〜春日駅前〜蔵前駅前〜錦糸町駅、1万8985人
4位:「東22」錦糸町駅〜東陽町駅〜門前仲町〜東京駅丸の内北口、1万6989人
5位:「都01」渋谷駅前〜六本木駅前〜溜池〜新橋駅前、1万5186人
※カギカッコ内は系統名。以下、主要系統の運行区間(支線や出入庫系統除く)、1日あたり乗車人員。

 同様に、2016年度の運賃収入トップ5系統を挙げてみると、次のようになります。

●収入額トップ5
1位:「王40」池袋駅東口〜王子駅前〜荒川土手〜西新井駅、約12億5615万8000円
2位:「都02」大塚駅〜春日駅前〜蔵前駅前〜錦糸町駅、約11億9011万5000円
3位:「都07」錦糸町駅前〜亀戸駅通り〜東陽町駅〜門前仲町、約11億6230万5000円
4位:「都01」渋谷駅前〜六本木駅前〜溜池〜新橋駅前、約10億8308万4000円
5位:「東22」錦糸町駅〜東陽町駅〜門前仲町〜東京駅丸の内北口、約10億2236万9000円

 乗車人員トップ5系統が、収入額でもトップ5です。ちなみに2015年度も収入額トップ5は同順位で、高い需要があることがわかります。しかし、この5系統を収入額から支出額を引いた損益額、つまり黒字額の面から見ると、様相が大きく異なってきます。

●乗車人員および収入額トップ5系統の損益額(黒字額)
1位:「東22」錦糸町駅〜東陽町駅〜門前仲町〜東京駅丸の内北口、約3億8623万7000円
2位:「都07」錦糸町駅前〜亀戸駅通り〜東陽町駅〜門前仲町、約2億5041万6000円
9位:「都01」渋谷駅前〜六本木駅前〜溜池〜新橋駅前、約1億914万6000円
10位:「都02」大塚駅〜春日駅前〜蔵前駅前〜錦糸町駅、約1億548万7000円
29位:「王40」池袋駅東口〜王子駅前〜荒川土手〜西新井駅、約2006万8000円

「王40」以外の4系統は127系統のなかで10位以内に入りますが、「王40」は29位と大きく後退します。ちなみに2015年度における「王40」の収入は11億8482万1000円、これに対し支出が12億1305万円で、損益では2822万9000円の赤字でした。需要が高いにもかかわらず、赤字になることもあるのはなぜでしょうか。

■なぜ黒字額小さい? 「王40」、その実態は

 東京都交通局は「王40」の支出額が多い理由について、「運行距離が長く、運行に必要な人件費などの経費が多くかかるためです」といいます。それに対し、たとえば江東区内を走る黒字額トップの「東22」、2位の「都07」については、「江東区内における南北方向への移動はバスが中心となっており、1運行あたりのご利用されるお客様が多いです。路線も『王40』に比較して短く、効率的な運行が可能で、収支がよいといえます」とのこと。ちなみに5系統を距離の長い順に並べると、「王40」約11.1km、「都02」約10.4km、「東22」約8.1km、「都07」約6.8km、「都01」約5.5kmです。

 都営バスは一部の路線を除き、基本的に大人210円(ICカード206円)の均一料金ですので、運行の途中で乗客が入れ替われば入れ替わるほど収入が増えます。途中の鉄道駅や主要スポットで入れ替わりがあるほか、たとえば「東22」などは、錦糸町駅〜東京駅丸の内北口間の全区間を走る便よりも、江東区内を南北に結ぶ錦糸町駅〜東陽町駅間のみを走る便のほうが多くなっています。このように、同じ系統のなかで地域の需要に応じた運行をし、効率的に収入を増やすこともできるのです。

>>2 以降に続く

2018.04.16
乗り物ニュース
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