異常たんぱく質 核外へ運ぶ新分子 老化に関与の可能性
毎日新聞2018年4月17日 04時00分(最終更新 4月17日 04時00分)
https://mainichi.jp/articles/20180417/k00/00m/040/175000c

 京都産業大の永田和宏教授(細胞生物学)と東京大などのチームは、異常なたんぱく質を核から細胞質に積極的に運び出す分子を発見したと発表した。これまでの研究では逆に異常なたんぱく質は細胞質から核内に運ばれ、そこで分解されると考えられていた。線虫を用いた実験でこの分子の機能を抑えると寿命が短くなったことから、老化に関与している可能性もあるという。成果は17日、米国科学アカデミー紀要「PNAS」に掲載される。

 異常なたんぱく質は「ユビキチン化」という標識がつけられた後、酵素やオートファジー(細胞の自食作用)などで分解されるが、分解されず細胞に蓄積すると、さまざまな疾患を引き起こす。アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患では異常なたんぱく質が固まり、細胞質にたまることが知られている。

 今回は異常なたんぱく質を認識して結合する分子「UBIN」の機能を調べる過程でUBINに結合する分子を探し当てた。「POST」と命名したこの分子は、UBINなどと複合体をつくり、異常なたんぱく質を核外へ運び出していることも分かった。さらに線虫でUBINとPOSTの働きを抑えると、核内に異常なたんぱく質が蓄積され、通常3週間程度の寿命が2週間程度と短くなった。

 東京大の平山尚志郎助教は「今後はUBINとPOSTが変性疾患に関わっているのかを調べ、病気の解明に役立てたい」と話している。【菅沼舞】