今、ファッションに敏感な若者たちの間で流行しているダッドシューズ(またはダッドスニーカー)をご存じだろうか? “ダッド”とは、お父さんのこと。つまりお父さんが履くような、ゴツゴツしたちょっとダサいシューズのこと。それを、DJやヒップホップのラッパーたち、または、スケーターなんかを中心に広まっている。インスタでハッシュタグをつけて検索すると出るわ出るわのダッドシューズの写真。インスタ映えもばっちりだ。

 ダッドシューズが流行り始めたのは去年の11月頃からだと記憶している。ストリート系の若者たちから火がついた。そこからクラブに通う若者たちも好んで履くようになった。

 ダサいものをかっこよく履きこなす。そこにセンスが現れる。一種のセンスの競い合いから始まったダッドシューズブームだが、インスタを見れば、「かっこいい!」というコメントが並ぶ。いまでは、履きこなしがかっこいいというよりは、ダッドシューズそのものがかっこいいと見られているニュアンスである。

 かつて、建築史家の井上章一は、著書『つられた桂離宮神話』で、近代的(モダン)な建築の代表的なひとつで、世間では美しいとされている桂離宮を、「美しいとは思えない」と言い、美の基準には人間の作為が入っており、美しいと思わされていることを喝破したが、筆者には、このダッドシューズブームにも、それと同じ問題が内包されているように思える。

 ダッドシューズブームが起きつつあるなか、あるシューズメーカーのシューズが脚光を浴びつつある。そのメーカーとは、ダンロップ。タイヤメーカーとして有名だが、ライセンス契約によって、広島化成という会社がダンロップブランドのシューズを製造している。

しかしながら、過去のダンロップのシューズのイメージといえば、ダサい、オタク専用ブランドといったものが多く、基本的にファッションに興味のない人たちが履くものだった。

 そもそも大手シューズショップには置いておらず、個人商店や、ショッピングモールの専門売場などでよく見かける。値段もだいたい3500円くらいと安く、お母さんがよく買ってくるシューズというイメージもある。グーグルで「靴 ダンロップ」と検索すると、予測候補に「オタク」「ダサい」と出て来る有様だ。しかし状況は変わった。

 筆者の取材に、広島化成株式会社広報部はこう話してくれた。

 「まだ、ブームが始まったばっかりなので、直接的な数字として表れるのはもう少し先だと思いますが、反響は肌で感じています。お問い合わせも多くなりましたし、去年は、東京コレクションに2足使用されました。それを見た若者たちが、かっこいいと目をつけて買っていただいているのだと思います。ダンロップ愛好者の人のことを最近ではロッパーと呼ぶらしいです。それだけ親しまれてきたということでもあると思います」

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続きはソース先で
朝日新聞デジタル&M 2018.4.16
http://www.asahi.com/sp/and_M/articles/SDI2018041368811.html