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4月17日 4時51分
観測できる範囲がこれまでより格段に広い、新型の宇宙望遠鏡が日本時間の17日朝、アメリカ南部フロリダ州から打ち上げられます。生命を育む環境が整った、“第2の地球”を発見できるのではないかと期待されています。

打ち上げられるのは、NASAがマサチューセッツ工科大学などとともに開発した新しい宇宙望遠鏡、「TESS」です。

惑星は、みずからは光を放たないため、見つけるのが難しく、太陽のように光を放つ恒星の前を横切った際に、光がわずかに弱まるのを観測することで見つかります。TESSは高性能のカメラ4台を搭載し、これまでの宇宙望遠鏡より格段に広い、宇宙の85%の方向から届く光を観測することで数千個の惑星が見つかると予想されています。

TESSは、現地時間の16日午後6時半すぎ、日本時間の17日午前7時半すぎに、フロリダ州にあるケープカナベラル空軍基地から打ち上げられる予定です。

NASAは、6月中旬から観測を始め、2年かけて300光年以内の距離にある惑星のほとんどを調べる計画です。大きさや密度、大気の状態などを分析することで光を放つ星から適度に離れ、水が液体のままで存在し、生命を育む環境が整った“第2の地球”を近い将来、発見できるのではないかと期待されています。

NASAの担当者は、15日に行われた記者会見で、「太陽系外のどの惑星に生命が存在しうるのか、調べる手段が整い、心を踊らせている」と述べ、成果に期待を示していました。

“第2の地球”探し 最前線には日本人研究者も

“第2の地球”探しは、今後、どのように進められるのか。その最前線にいる日本人研究者がいます。東京大学の成田憲保助教です。

惑星は、みずからは光を放たないため、見つけるのが難しく、太陽のように光を放つ恒星の前を横切った際に、光がわずかに弱まるのを観測して見つけ出します。「TESS」もこの方法をとっていますが、宇宙には、恒星の周りを回る恒星も数多くあり惑星と区別がつきにくいため「TESS」の観測で見つけられるのはあくまで惑星の候補です。

成田助教は、この惑星の候補を地上から望遠鏡で観測し、効率よく、惑星かどうか判定する装置を開発することに成功しました。赤外線や可視光線など複数の波長で見ることで恒星ではなく惑星だと判定できる装置です。

「TESS」の打ち上げを見据えたこの装置は、岡山県にある直径1.9メートルの望遠鏡に設置されていてこれまで長い場合には年単位でかかっていた判定を大幅に短縮できると期待されています。

成田助教は、「これから2年間太陽系の外の惑星の発見が相次ぐと思うので、われわれの技術でリードして新しい発見をしていきたい」と話しています。

研究者「2030年代には生命の痕跡見つかるかも」

さらに、発見した惑星に地球と同じような生命が存在できる環境があるのか確かめるためには、惑星が岩石などでできているかどうか、そして大気があるかどうかなどが重要なポイントになります。

成田助教によりますと、惑星と確認できた天体を、ハワイにある日本のすばる望遠鏡で観測すれば、惑星の質量がわかるため、木星や土星のようなガスが多くを占める惑星ではなく岩石でできているかどうか確認できるということです。

また早ければ2020年に打ち上げられる予定のNASAの新たな宇宙望遠鏡「ジェームズ・ウェッブ」には、惑星から届く光を細かく分析する能力があり、微生物がつくりだすメタンなど生命の存在につながる可能性がある成分が大気に含まれているかどうか調べることができると期待されています。

成田助教は、「数年後には生命が存在できる可能性のある惑星が本当に発見されて、2030年代には、もしかしたら生命の痕跡が見つかるかもしれない」と話しています。
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