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4月16日 19時14分
14年前、広島県廿日市市で女子高校生が殺害された事件で、逮捕された35歳の男は、事件当時の状況について「自暴自棄になっていた」などと供述していることが警察への取材でわかりました。警察が、詳しいいきさつなどをさらに調べています。

山口県宇部市の会社員、鹿嶋学容疑者(35)は平成16年10月、広島県廿日市市の住宅に侵入し、この家に住む高校2年生の北口聡美さん(当時17歳)を刃物で刺して殺害したとして殺人の疑いで逮捕されました。

警察によりますと、容疑を認めたうえで「騒がれて逃げようとしたのでナイフで刺した」などと供述しているということです。さらに、事件当時の状況については「自暴自棄になっていた」などと供述していることが、警察への取材で新たにわかりました。

警察などによりますと、鹿嶋容疑者は高校卒業後から勤めていた会社を辞めて以降は自宅に戻らなくなり、事件が起きた当時は家族も連絡が取れなくなっていたということです。

一方で、事件の翌月には別の建設会社に就職したと見られ、今月逮捕されるまでこの会社に勤続していたということです。

警察は、事件に至った詳しいいきさつや、その前後の行動などをさらに調べています。

事件後に実家に戻ったか

親族や知人などによりますと、鹿嶋学容疑者は中学1年のとき山口県下関市から宇部市に家族と引っ越してきました。
平成13年に地元の高校を卒業すると、山口県内にある金属加工会社の工場に就職し、親元を離れて寮生活を始めたということです。

鹿嶋容疑者は、この工場に3年ほど勤めて退職したあと自宅に戻らず、1年近く家族も連絡が取れなくなっていたといいます。
知人などによりますと、友人の家に泊まったり、バイクで大阪などに行ったりしていたということですが、警察はこの間に事件を起こしたと見ています。

鹿嶋容疑者は事件後になって実家に戻ったと見られ、事件の翌月の11月ごろに、宇部市内の建設会社に就職したということです。

建設会社の社長によりますと、まじめでもの静かな印象で、逮捕される前日までふだんどおりに働いていたということです。

容疑者の父「事件はとても信じられなかった」

鹿嶋容疑者の父親は、山口県宇部市の自宅で報道各社の取材に応じました。
父親などによりますと、鹿嶋容疑者は宇部市内の高校を卒業後、山口県内の金属加工会社で働きながら寮生活を3年ほど続けていたといいます。

21歳の頃、会社を無断で欠勤し、まもなくして退職しましたが、父親は仕事を辞めた理由などについては尋ねなかったということです。

鹿嶋容疑者は退職後は1年近く自宅に戻らなかったということで、警察によりますと、この間に事件を起こしたと見られています。
父親は「一度も帰ってこず、行方が全くつかめない状態だった。気にはなったが、仕事探しをしているのだろうと思った」と話しています。

鹿嶋容疑者はその後、宇部市の建設会社に就職し、自宅で生活するようになりましたが、家では家族との会話は少なく、一緒に食事をすることもなかったといいます。

父親は鹿嶋容疑者について「内向的で引っ込み思案で自分から何かを積極的にすることはなかった。あんな事件を起こすとは思えず、とても信じられなかった」と話しました。

そのうえで「被害者のご両親にはいくら頭を下げても足りないくらい申し訳ないと思っています。心の整理ができてからお伺いして、花を手向けさせていただきたい」と謝罪の言葉を述べました。